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漫画読書日記

自己満足の為の読書感想文。

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最近購読した漫画47【古本/ホラー漫画(ひばり書房)】



 ジャンプコミックスやサンデーコミックス・てんとう虫コミックス等、メジャー且つ健全な内容の漫画が書店の棚の目立つ場所を広く陣取る一方で、本棚の片隅にひっそりと置かれ、しかし確実に異様な存在感を放っていた、黒い背表紙の単行本。
 「恐怖」「呪い」「たたり」等、恐ろしい言葉を無理矢理並べたインパクト重視のタイトルに、絶対に手元に置いておきたくないと思わせるには十分な、気味の悪い表紙イラスト。結局発刊当時に購入した事は一度も無く、周囲にも集めているという友人は1人も居なかったにも関わらず、読んだ事も無い作品のタイトルや表紙イラストの数々を未だに覚えている程に、子供に与える強烈なインパクトは、健全なメジャー作品のそれを遥かに凌駕していた事は確かであった。
 ごく僅かに私が過去に読んだ事がある物は、友人が知人から譲り受けた物や、ゴミ捨て場に捨てられていたボロボロになった物を拾って読んだといった具合であり、そうした「読後に必ず処分される」というそれ等の作品に対する処遇は、ある意味ではその恐ろしさに対する正当な評価であるとも言え、またある意味では、そうした恐ろしい物や残虐な物を求めている自分自身の心の闇と向き合う事が恐ろしいが為に、作品そのものを忌避する事で、自分はまともなのだと、無理に思い込もうとしていた結果なのではないかと思われてならない。
 …そうした認識を改めようという意図が特にある訳ではないのですが、最近になって急に昔のマイナーホラー漫画が気になり始めた為、比較的値段も手頃で入手し易い物から、少しずつ集め始めている所です。今回は8/10に購入した10册のホラーコミックスの内、ひばり書房発行の物を集めてみました。

 「血ぬられた処刑の島(CHINURARETA SHOKEI NO SHIMA)」 川島のりかず(KAWASHIMA NORIKAZU)・・・・・1984年8月6日発行の描き下ろし単行本で、後に背表紙のナンバーを変えたバージョンを新たに初版として発行。
 主人公・花林(KARIN)は、ある日突然額に星形のアザが出来た事から、家族によって鉄格子を填めた物置き小屋に閉じ込められてしまう。実はこのアザは一年後に体が溶けて死んでしまう恐ろしい病気の予兆であり、発病前に必ず政府の死刑執行人に引き渡さなければならないと法律で決められていた為、我が子を殺させたくない両親が匿おうとしていたのだった。しかし隣の家の住人に通報され、花林は死刑執行人に連れて行かれてしまい、家族もまた警官に連行されてしまう。隙を見て逃げ出した花林は同じ境遇の少年・サトル(SATORU)と出会い、星形のアザの謎を追いつつ、何度も捕まっては逃げ出すといった逃避行を繰り返した後、とうとう処刑場のある島へと送られてしまうが…。
 エンディングに至るまでに大勢の人々が殺され、かなりの残虐シーンも描かれるが、個人的に一番印象深かったのは、サトルの友人・タダシ(TADASHI)が処刑されるシーン。花林達が閉じ込められている檻から遠く離れている為、ロングで小さく描かれ、コミカルにも見えるのだが、絵的なリアリティの無さが逆に「人の死の呆気無さ」というリアリティを伝えていて、考え様によってはどんな残虐シーンよりも恐ろしく思えてしまう。
 最後は政府に抵抗する地下組織により助け出され、星形のアザの本当の意味を知り、花林達は皆国外へ脱出するという一応のハッピーエンドを迎える。余りに素直で他人を信じ過ぎる花林がとても可愛らしい。助かって良かった。

 「呪いの針地獄(NOROI NO HARIJIGOKU)」 川島のりかず(KAWASHIMA NORIKAZU)・・・・・1985年10月16日発行の描き下ろし単行本で、後に「みんな死んじまえ!!(MINNA SHINJIMAE!!)」というタイトルに改題して再版。
 主人公・菊子(KIKUKO)は2ケ月前に父を亡くし、水商売をしている母が早くも新しい男を家に連れ込むなど、複雑な家庭環境にあった。学校でも、自分が嫌いな相手を殺しているという残酷な絵を描いた事から、クラスメート達から孤立し、虐められる様になってしまう。虐めがエスカレートしていったある日、菊子は本で読んだブーズー教の呪いの儀式を真似て、木に打ち付けたワラ人形に次々と針を突き刺していく。一週間後、遂に呪いは発動し、虐めっ子の1人と母が連れ込んだ男が、身体中針だらけになって死んでしまった。菊子は呪いの効果を恐れ、またもや新しい男を作った母の許へと相談に行くが、笑われるだけで、まともに取り合っては貰えない。加えて、呪いを恐れた虐めっ子達から酷い仕打ちを受け、一度は止めた呪いの儀式を再び始める菊子だったが…。
 望んで呪いの儀式を行ったのは菊子であるとは言え、一度発動してしまうと取り消しが効かず、淡々と無感情に呪いが実行されていく所に、何者の意思や感情の介入も許さない超自然的な「現象」に対する言い様の無い恐怖を感じさせられる。菊子自身も、自由に制御出来ない呪いの効果を恐れていたのだ。虐めっ子達から助けてくれた友人・かおり(KAORI)の存在や、男が居ない時に菊子を甘えさせてくれた母の優しさ等、救われる道は確かに在った。それだけに、最初に呪いが発動した時点でもはや後戻りは出来ず、自分の命を捧げる事が呪いの必須条件でもあった為に、最後に菊子自身にまで呪いが降り掛かって死んでしまう事が確定されていた事は、余りにも悲しく思われてならない。

 「血だらけの少女(CHIDARAKE NO SHOUJYO)」 川島のりかず(KAWASHIMA NORIKAZU)・・・・・1986年6月16日発行の描き下ろし単行本「私を殺さないでよ!(WATASHI WO KOROSANAIDEYO!)」を改題して再版した物で、こちらは1988年7月16日と1988年10月6日にそれぞれ初版発行。
 肝試しの最中に、血塗れの顔をした自分そっくりの少女と、炎に包まれる人々の幻を視た主人公・雨宮カナ(AMAMIYA KANA)。遠足に行った際にバスが事故に遭い、クラスメート達は皆炎に包まれて焼け死に、カナは川に流され、岸に打ち上げられた際にケガをして血塗れとなり、幻視した事が全て現実に起こってしまう。事故のショックで記憶喪失となったカナは子供の居ない老夫婦に拾われ、その家の子供として育てられる事になるが、新しく通い始めた田舎の学校で、かつてのカナと同様に自己像幻視を経験したヨシ子(YOSHIKO)が幻視通りに死んでしまい、カナもまた、自分の顔が醜くやつれて首がもげ落ちる幻を視てしまう。その後カナの消息を知った両親がカナを迎えに来るが、カナを手放したくない老夫婦は猟銃でカナの両親を脅して追い返そうとする。両親を守るべく老人から猟銃を取り上げたカナだったが、老人に猟銃を向けた所、またもや自己像幻視が始まった…。
 途中で大勢人が死ぬとは言え、最終的にカナはドッペルゲンガーが暗示した自分の未来の運命に打ち勝ち、両親の許へと戻って、老人も自分の罪を認める等、大団円を迎えます。表紙にも描かれている通り、主人公のカナはかなりの美少女。この当時美少女キャラを指して「萌え」と呼ぶ習慣はまだありませんでしたが、同作者の描く美少女キャラは皆、現在でも十分通用する「萌えキャラ」だと私は思います。

 「呪いの首に白蛇が!(NOROI NO KUBI NI HAKUJYA GA!)」 三智伸太郎(MICHI SHINTAROU)・・・・・1987年8月16日発行の描き下ろし単行本を、同内容で背表紙のナンバーを変えて再版した物で、こちらは1988年8月6日初版発行。
 生まれた時から病に伏せって、人一倍生への執着心が強い菊(KIKU)は、自分の死を目前に、未来での復活を予言して、自分で自分の首を斬り落とすという壮絶な最期を遂げる。菊の日記には、「丈夫な左右の腕・左右の足・胴体を選んで転生する」と書かれていた。それから四十年後の現在、菊復活の前触れとなる白蛇が現れて、祠に安置されていた菊の首を開放。一方、東京に住むお転婆な少女・真実(MAMI)は、自分の右腕が時々勝手に動くという怪現象に悩まされていた。
 蘇った菊の首は、口から白蛇を吐いて観光客の少女を襲い、精気を吸い取った後、体をバラバラにして胴体を奪う。年老いた菊の父・三鬼周吾(MIKI SHUUGO)は、法念(HOUNEN)和尚と共に菊の復活を阻止すべく立ち回るが、2人目の犠牲者が出て右足を奪われてしまい、更に菊の右腕を持つ真実が、両親と共に三鬼村へ観光にやって来る。3人目は左足・4人目は左腕と、次々に犠牲者が出て、菊が順調に体のパーツを取り戻していく中、蔵の中に匿われた真実だけは何とか右腕を奪われずに済み、無事に東京へと帰って行った。しかし菊は道中で殺戮を繰り返しながら真実を追い、とうとう東京までやって来た!
 追い詰められる恐怖が狙いだという事は解るのですが、4人目の犠牲者が出るまでのペースがかなり早く、見付かった時には既に襲われた後というパターンばかりなので、菊の体のパーツを持つ者同士が協力し合う場面を間に挟んでも良かったのではないかと思います。菊の弱点に関しても、読者には随分早くから知らされていたにも関わらず、作中の人物が気付くのが遅過ぎる事も少し気になりました。
 表紙に描かれた気味の悪い顔は、ダメージを受けて顔の肉が崩れた時の菊。しかし自在に生前と変わらぬ姿になる事も出来、猫の様な吊り目の生前の顔はなかなかの美少女。真実も表紙の絵は今一つですが、作中では表情が豊かで結構可愛く描かれています。
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