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漫画読書日記

自己満足の為の読書感想文。

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最近購読した漫画89【古本/ホラー漫画(朝日ソノラマ)】



 今回紹介するのは朝日ソノラマの「ハロウィン少女コミック館」シリーズ。11/16と12/3に購入した物です。まつざきあけみ(MATSUZAKI AKEMI)の作品が3册あるので、もう何冊か買って是非とも別枠で取り上げたかった所なのですが、これ以外には見付ける事が出来ず、少々残念に思っています。同作者の単行本はこのシリーズから多数発行されているので、今後も探し続けたいと思います。あと、序でにPSのゲーム「どつぼちゃん(DOTSUBO-CHAN)」のソフトも…。

 「生き人形(IKI-NINGYOU)」 永久保貴一(NAGAKUBO TAKAKAZU)・・・・・1985〜198?年に発表された、表題作を含む中編及び短編を5本収録した作品集。1989年4月20日発行。
 表題作の「生き人形」は「月刊ハロウィン」1986年4月号に掲載。タレント稲川淳二(INAGAWA JYUNJI)の体験談を漫画化した作品で、巻頭に稲川淳二の推薦文を収録。昭和52〜53年頃の夏、人形芝居の為に女の子の人形が2体作られたのだが、芝居の稽古の最中から関係者の周辺で様々な不幸や怪現象が相次ぎ、芝居の公演時にも原因不明の出来事が多発。この人形に纏わる怪異をTV番組で紹介しようとした際にも様々な怪現象が続発し、昭和57年の夏にABC放送の「プラスα」で紹介された際には、スタジオ内に気味の悪い変な音が響いたり、男の子の霊が現れてTVにまで映り大騒ぎに。人形に取り憑いた霊が、様々な霊を呼び寄せた事で怪現象が多発していたらしいのだが、「寺に納めた方が良い」と言う霊能者の忠告を無視した為に、人形の持ち主は気が変になってしまい、今でもまだ全ては終わっていないという、リアリティがあり過ぎて後味の悪い内容だ。
 「描いた私も呪われた(KAITA WATASHI MO NOROWARETA)」は掲載誌及び掲載時期不明。「生き人形」執筆中に作者の身の回りで起こった怪現象を綴った後書き漫画で、ギャグっぽく描かれてはいるが、執筆当時の当事者達にとっては非常に大変な時期だったに違いない。人形の持ち主が、人形を手放した事で人形使いとして復帰出来た事が描かれていた点だけは良い知らせだったと言える。
 「呪い釘(NOROI KUGI)」は掲載誌及び掲載時期不明。最後のページの欄外に「松竹映画「愛の陽炎」のストーリーをもとに創作したもの」という注釈が入っている。山中の製材所に勤めるルミ子(RUMIKO)は、運送会社に勤めるトラック運転手の関口(SEKIGUCHI)と結婚の約束をしており、2人が住む家を建てる土地を買う為に協力し合って貯金していた。しかし関口が何人もの女性と付き合っている事や、過去に結婚詐欺紛いの揉め事を起こしていた事を知り、自分が騙されていた事に気付いたルミ子は、丑の刻参りで関口を呪い殺す事を決意する。
 「遊ぶ踏切(ASOBU FUMIKIRI)」は掲載誌及び掲載時期不明。過去に何人もの人々が事故に遭い、何本もの卒塔婆が立てられた「魔の踏切」。そこで6人目の犠牲者が出た瞬間を目の当たりにした美雪(MIYUKI)は、新聞部で魔の踏切の事を記事にしようという意見が出た際に異議を唱えるが、結局取材は進められ、少女の霊に取り憑かれた美雪は踏切で命を落としてしまう。しかし事件はそれで終わりではなかった…。
 「学校(GAKKOU)」は掲載誌及び掲載時期不明。学校の七不思議について話をしていた4人の女生徒達は、5年前に虐めを苦に自殺した女生徒の霊が映る為に、ベニヤ板を打ち付けたという隣の教室の窓を見に行く事にする。ラストの一場面のみで怖がらせる構成の、全16Pの超短編。
 稲川淳二の体験談である「生き人形」や、映画を基に創作したと言う「呪い釘」等、漫画の基になる話が別に存在する事で、作者自身が1人で頭の中で考えた完全なオリジナルの創作物よりも、リアリティと読者にとっての受け入れ易さが増幅されている印象がある。「遊ぶ踏切」や「学校」等のオリジナル作品に於いても、登場人物達が必ず噂の現場へ足を運んで確かめに行っている点に、「検証」や「取材」を大事にする作者の創作への拘りが表れているかの様だ。各作品の掲載誌と掲載時期が一切記入されていない点が不満。

 「楳図かずおの呪い」 楳図かずお(UMEZU KAZUO)・・・・・

 「華麗なる恐怖シリーズ 好敵手(KAREI NARU KYOUFU Series Rival)」 まつざきあけみ(MATSUZAKI AKEMI)・・・・・・・・・・「月刊ハロウィン」1986年1月号(創刊号)〜1990年9月号に連載された「華麗なる恐怖シリーズ」を纏めた9册の単行本の内の8册目で、今巻には1989年8月号〜1990年2月号掲載分の全6話を収録。1990年8月20日発行。
 「蟻塚(ARIDUKA)」は「月刊ハロウィン」1989年8月号に掲載。嵐の中ボートで遭難した主人公が辿り着いた島には、珍しい蟻に異常な執着心を持つ男・一馬(KAZUMA)と、彼に強引に妻にされたらしい麗子(REIKO)の2人が暮らしていた。一馬が蟻の世話をしに小屋へ入った隙に外から鍵を掛けた主人公は、麗子を連れて島を出ようとするが、潮流の関係で必ず島へと戻されてしまい、どうしても島から出られない。二か月後、麗子が小屋を覗きに行ってみると、一馬は身体を蟻に乗っ取られ、蟻塚にされた状態で生きていた。
 「魂請村(TAMAGOI-MURA)」は「月刊ハロウィン」1989年9月号に掲載。20XX年、全ての農作物は水気耕栽培(ハイポニカ)によって栽培され、土壌育成が時代錯誤と言われて久しいこの時代に、昔ながらの農業を営む田舎の農村に憧れを抱く克巳(KATSUMI)は、本物の土を使って理想の村のジオラマを作る事を趣味としていた。理想の村に執着する余りジオラマの中の女性に恋をした克巳は、婚約者の美季(MIKI)に冷たく当たった事から、ジオラマを窓から投げ捨てられ、それを追って雨で増水した川に飛び込んだまま行方不明になってしまう。十五年後、弟の卓巳(TAKUMI)が仕事で訪れた山間の村は、兄が作ったジオラマとそっくりで、名前も同じ「魂請村」であった。
 「悪魔の種子(AKUMA NO TANE)」は「月刊ハロウィン」1989年10月号に掲載。子供の居ない袖木(SODEKI)家に養女として迎えられた瞳(HITOMI)。天使の様に愛くるしい瞳だが、彼女が隠れて虫や金魚等の生き物を楽しそうに殺している所を目撃した養母・香緒里(KAORI)は、瞳を古いアメリカ映画に準え「悪い種子(WARUI TANE)」と呼んで恐れる。実は瞳はかつて香緒里が殺すつもりで真冬の川に捨てた実の娘であった。
 「十一月の四月馬鹿(JYUUICHIGATSU NO SHIGATSUBAKA)」は「月刊ハロウィン」1989年11月号に掲載。結婚一年目で喧嘩一つせず幸せな設楽(SHIDARA)夫妻。妻の矗子(NOBUKO)は資産家だが男運が悪く、これまでに財産目当ての男性とばかり3度も結婚して失敗してきたという過去があった。初めて財産目当てでない男性と巡り合えたと思ったのも束の間、夫の佼(SATOSHI)が家を購入する際に百万余分に払わせていた事を知り、以後、疑心暗鬼に陥ってしまった矗子は、佼が自分を殺して財産を奪おうとしていると思い込んでしまう。
 「クリスマス・イブ(Christmas Eve)」は「月刊ハロウィン」1989年12月号に掲載。父がかつて吹雪の中で遭難した時に出会った美しい娘の話を家族に聞かせた所、娘がメイドと一緒に作った家族の人形によって、皆が次々と不幸な目に遭ってしまうという第1話と、恋人のアルバート(Albert)が亡くなってからというもの、悲しみだけのクリスマスを送り続けてきたアリス(Alice)の許へ、実は生きていたアルバートが迎えに来るという第2話の2本立て。
 表題作「好敵手」は「月刊ハロウィン」1990年1月号〜2月号に掲載。探偵小説家として人気を二分する韻徹也(HIBIKI TETSUYA)と雲居俊介(KUMOI SHUNSUKE)は、子供の頃からのライバル同士。互いに相手を殺したいと思う程憎み合っていた2人だったが、韻が二年連続で探偵小説大賞を受賞した事から、雲居は遂に直接韻を殺害しようと受賞パーティーに現れる。しかし仮装パーティーなのに仮装もせず、却って目立つ普段の姿で現れた雲居の行動には不審な点があった…。
 殆ど全てがシリアスな内容の物語ばかりであり、笑える要素と言えば「好敵手」の一郎(ICHIROU)と誠一(SEIICHI)のシーンぐらい。超常的な存在も「クリスマス・イブ」第1話に登場したゆき=洋子ぐらいであり(「蟻塚」の蟻も不思議な存在ではあるが…)、比較的現実的な奇妙な体験が堪能出来る1册となっている。珍しく近未来を舞台にした「魂請村」は、雰囲気が好きな作品。謎そのものは単純だが、2ヶ月分の連載作である表題作「好敵手」も、読み応えのある作品だ。

 「華麗なる恐怖シリーズ ふりむいた男(KAREI NARU KYOUFU Series FURIMUITA OTOKO)」 まつざきあけみ(MATSUZAKI AKEMI)・・・・・「月刊ハロウィン」1986年1月号(創刊号)〜1990年9月号に連載された「華麗なる恐怖シリーズ」を纏めた9册の単行本の内の9册目で、今巻には1990年3月号〜1990年9月号掲載分の全7話を収録。1991年1月20日発行。
 「麗人館(REIJIN-KAN)」は「月刊ハロウィン」1990年3月号に掲載。勤め先の金庫から大金を奪って逃げていた4人組は、森の中で道に迷い、たくさんのバラに囲まれた大きな屋敷へと辿り着く。そこには中年の婦人が1人で暮らしていたが、彼女も元々は森で迷ってこの家に辿り着き、そのままここに住み続けているのだと言う。4人組の内の2人と屋敷の女主人が相次いで死亡し、屋敷の美しさに魅せられていた真由子(MAYUKO)は、若くて美しい自分が屋敷の次の主人に選ばれたのだと喜ぶが…。
 「白薔薇紅薔薇(SHIROBARA BENIBARA)」は「月刊ハロウィン」1990年4月号に掲載。立派な屋敷に多くのメイド達と共に住む2人の美しい姉妹。妹の亜子(AKO)は車椅子での生活を余儀なくされており、それは姉のみずえ(MIZUE)の所為だとつらく当たる一方、みずえは罪悪感から妹の我侭にも献身的に仕えていた。亜子の家庭教師としてやって来た白木(SHIROKI)はみずえと恋仲になるが、過去にみずえに熱を上げた男性の内何人かが行方知れずになっているらしく、姉は悪魔の顔を持っていると、亜子から忠告される。
 表題作の「ふりむいた男」は「月刊ハロウィン」1990年5月号に掲載。戦時中の空襲時に美女と醜女どちらの手を引いたかでその後の運命が変わってしまった男の話「願橋(NEGAI-BASHI)」と、心臓の研究に没頭している男が初めて好きになった女性とその恋人が死亡した際に心臓を貰い受け、ちょっとした悪戯っぽい研究をする「恋する心臓(KOI SURU SHINZOU)」の2本立て。
 「すてきな仲間たち(SUTEKI NA NAKAMATACHI)」は「月刊ハロウィン」1990年6月号に掲載。仲の良い5人組のいとこ達が地震で洞窟に閉じ込められ、心臓の弱い真紀(MAKI)が心臓マヒを起こして死んでしまう。真紀の母は助かった4人に毒を飲ませ、解毒薬が欲しければ誰が真紀を殺したのか白状しろと脅し、皆は責任のなすり合いを始める。
 「ふりむいた男PART2」は「月刊ハロウィン」1990年7月号に掲載。実生活上で嫌な事が続き、気楽に生きられる犬になりたいと、公園で四つん這いになって犬に話し掛ける男の話「人面犬(JINMENKEN)」と、防護壁の故障で地球に帰れなくなった宇宙船の乗組員が、奇跡的に無事帰還出来たと思ったのも束の間、自分の記憶と食い違う細かい部分に違和感を感じる「帰還(KIKAN)」の2本立て。
 「怖い女(KOWAI ONNA)」は「月刊ハロウィン」1990年8月号に掲載。直人(NAOTO)は、若くて明るい妻・まなみ(MANAMI)とは対照的な年上で控え目な女性・郁子(AYAKO)と浮気をしていたが、別れ話を持ち出した直後から、長い髪が纏わりついた睡蓮の花が自宅や職場に届けられるといった嫌がらせが続く。郁子がまなみにまで接近して来た事を知った直人は郁子の実家を訪ねるが、彼女は既に沼に身を投げて死亡していたのだった。
 「暑い夏(ATSUI NATSU)」は「月刊ハロウィン」1990年9月号に掲載。妻が病気で寝込んでいるのを良い事に浮気している兄を、ろくろっ首の怪談で脅かして諭そうとする弟の話「とぶ首(TOBU KUBI)」、戦時中に駆け落ちする約束の場所へ行けなかった為にその後の運命が決まってしまった老人達の話「願橋(NEGAI-BASHI)」、山で囲まれた狭い村で暮らしている娘が山の向こうへ興味を持つものの、ある秘密を隠している村人達から強く止められる「山のあなた(YAMA NO ANATA)」の3本立て。
 シリーズ最後の単行本の割には2本立てや3本立てが多く、1本1本が軽い読み物の様な印象を抱かせるが、それだけに却って印象に残る話も多い。表題作「ふりむいた男」はギャグ色の強い内容だが、2本の「願橋」を合わせて読むと、戦争でその後の運命を狂わされた人々の物悲しさが、しみじみと感じられる。「怖い女」「とぶ首」と、恐ろしい女の執念を描いた作品が2本続く所などは、この1年後に連載される魔性の女を描いた「真夜中遊戯(Midnight Game)」シリーズとの共通点を感じさせる。その恐ろしさが魅力でもある女性像は、この時代に既にヤンデレの先取りをしていたと言えるかも知れない。

 「真夜中の子供」 まつざきあけみ(MATSUZAKI AKEMI)・・・・・
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