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漫画読書日記

自己満足の為の読書感想文。

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最近購読した漫画88【古本/ホラー漫画(ひばり・立風)】



 何と実店舗でひばり書房及び立風書房のホラーコミックスが見付かるとは!今までに購入した物は全てオンライン古書店で見付けた物であり、未だ実店舗に残っている事など有り得ないと思っていただけに、初めての出来事に非常に興奮しています。今回の本は全て11/29に購入した物。実はこの日新刊を購入した帰りに、ほんの気紛れで7〜8年程行っていなかった遠くの商店街へと足を運んでみたのです。大学の裏門から駅へと続く長い商店街で、1回20円だの30円だのといった安いゲームセンターが建ち並び、格闘ゲームに嵌っていた頃はよく通っていたものでした。元々は古本街と呼ばれる程に古本屋の数が多かったものの、格ゲーブームの頃には既に古本屋の数も5件程度にまで減ってしまっており、未だ畳まずに経営し続けている店が残っているかどうか不安ではあったのですが…。
 …いやはや、一時期かなりの店舗数に及んでいたゲームセンターの数すら2軒ぐらいにまで減ってしまっている現在に於いて、格ゲームブーム以前の古本街と呼ばれていた頃からの年季の入った古本屋が未だに(こちらも僅か2軒のみとは言え)残っていて、しかもこの様な掘り出し物を扱ってくれていた事に感謝感激、胸が熱くなる思いで一杯です。
 実の所元々予定に無かった買い物だった為、手持ちの金額が足りず、定価以上のプレミア価格が付けられている物を何冊か買わずに残して来てしまったので、いずれ近い内にそれ等も全て買い尽くしに行く予定。この日購入した物は、これ以外にも秋田書店やぶんか社のホラーコミックス等色々あるので、それ等も順次紹介していきたいと思います。

 「恐怖のほうたい女(KYOUFU NO HOUTAI-ONNA)」 池川伸一(IKEGAWA SHINICHI)・・・・・1973年3月31日発行の描き下ろし単行本を、同内容で背表紙のナンバーを変えて再版した物で、こちらは1982年9月6日初版発行。巻末に読者のおたよりコーナーを収録。
 これは以前某ホラー漫画レビューサイトで知ってからというもの、何時か必ず読んでみたいと憧れ続けていた作品の1つでして、今回思い掛けず入手出来た事を大変嬉しく思っています。ある意味タイトルだけで内容の全てを物語っているとも言え、「包帯の下の顔はどうなっているのだろうか?」「何故こんな姿になってしまったのだろうか?」「この女は一体何を企んでいるのだろうか?」…と、読む前から色々と想像せずには居られません。実際中身も期待を裏切らない残酷さで、作品全体に漂う路地裏っぽいアングラさが、発表された時代に余り似合わない、貸本時代の漫画の様な独特の魅力を醸し出しています。
 静岡県のある町で平和に暮らす4人家族。恵子(KEIKO)の弟のたかし(TAKASHI)は、何時もの家庭教師の代理としてやって来た女性に騙され、ねずみに指を食われてしまう。その日以来、奇妙な出来事が次々と一家を襲い始める。恵子が見知らぬ老人に付け回されたその日、やけどを負って休んでいた家庭教師の金山(KANAYAMA)が包帯姿で現れ、恵子は「いつもの先生じゃない」と違和感を訴える。棺桶の形をした不気味なオルゴールが届けられたかと思えば、その品に異常な反応を示した父が心臓発作で入院してしまい、その夜再び現れた金山は、たかしを縛り付けてねずみに襲わせた挙句、連れ去ったたかしを墓地に生き埋めにしてしまう。そしてたかしを捜しに出た恵子は金山と出会い、廃墟の様な金山の家へと案内されて、過去に父が犯した罪と金山の正体について聞かされる事になる…。
 お茶を飲む際に口元だけが見えたり、手や後ろ姿だけを見せる等、終盤までハッキリと顔を見せない所が却って恐ろしさを増している。鍵を掛けた廃墟の中で、包帯を解いて顔を見せられる件、特に髪の毛がカツラだったと解る辺りは滅茶苦茶怖い。話し方はまともなのだが、序盤で復讐に加担している女性を使ってたかしの指をねずみに食わせたりしているだけに、「何をされるか解らない」といった怖さがある。大怪我を負った上に恐ろしい目に遭わされたたかしは気が狂い、恵子は父に刺され、父は心臓発作で死亡。復讐を果たしたものの、復讐は空しいものだと知って、本人も体が崩れて骨となり死んでしまう。恐ろしくも悲しい十二月の物語。

 「恐怖の人形寺(KYOUFU NO NINGYOU-DERA)」 さがみゆき(SAGA MIYUKI)・・・・・1975年7月30日発行の描き下ろし単行本を、同内容で背表紙のナンバーを変えて再版した物で、今回購入した物は1984年4月16日発行のナンバー62バージョン。これ以降もナンバー9、ナンバー202といった具合に、何度かナンバーを変えて再版され続けていた様です。余程人気が高かったのでしょうか。
 春休みのある日、不気味な人形が数多く展示されている蝋人形館でデートしていたひろし(HIROSHI)と純(JYUN)。そこへ悲鳴を上げながら現れた高峰さつき(TAKAMINE SATSUKI)は、人形の中に埋め込まれていた姉の死体を発見する。事件は警察沙汰となり、後日さつきの家に呼ばれたひろしと純は、そこでさつきの姉・やよい(YAYOI)の幽霊を目撃。さつきから、これまでの経緯を聞く事になる。
 音信不通となったやよいの恋人・日高(HIDAKA)を捜す為、吉野(YOSHINO)の大峰山(OOMINE-YAMA)にある人形寺へと向かったやよいとさつき。和尚の話では日高は既に帰ったとの事なのだが、その夜やよいは怪しい女が自分と同じ姿をした等身大の蝋人形を木に打ち付けている所を目撃し、日高は既に殺されていて、自分も呪い殺されるのではないかと不安を訴える。次の日の夜も同じ様に木に釘を打ち付ける音が聞こえ、音のする方向へ向かった姉を追うも、途中で見失ってしまったさつきは、化物に襲われて意識を失い、姉を捜しに寺へ戻る勇気も無く、そのまま1人で帰って来てしまったのだと言う。
 一連の謎を解く為、ひろしの提案で人形寺へと向かった3人は、妖怪を象った人形が数多く収められているお経堂へと侵入し、釘が打ち付けられたやよいの人形を発見。そして和尚の口から全ての真実が語られる…。
 三百年に一度、実体を持たない妖怪達が蝋人形の中に入って復活する為に、人間の血が必要だったとの事なのだが、わざわざやよいに似せた人形を用意して丑の刻参りをしたり、自宅へ逃げ帰ったさつきを誘き寄せる為にやよいの霊魂を利用する等、目的の為の手段がかなりまどろっこしく、余り説得力のある理由付けが成されているとは思えない。全体的に行き当たりばったりで描き進められている様な印象があり、ストーリー性よりも、次々と挿入される恐怖シーンの連続こそが、この作品のメイン要素なのだろう。妖怪人形は皆かなり個性的な容姿をしていて、一部に笑ってしまう様な物もあるものの、囲まれるとかなり怖い。誰1人救われない投げ遺りなバッドエンドが少々残念に思われる。

 「幽霊学園(YUUREI GAKUEN)」 西たけろう(NISHI TAKEROU)・・・・・1982年4月6日発行の描き下ろし単行本で、後に「死を呼ぶ!! 幽霊学園(SHI WO YOBU!! YUUREI GAKUEN)」というタイトルに改題して再版。
 古い木造の旧校舎が残る桜花(OUKA)学園に転校して来た亜矢(AYA)は、転校早々美子(YOSHIKO)という仲の良い友人が出来るが、美子は誰かと会う約束があると言ったその日、旧校舎裏の古井戸に落ちて死んでしまう。美子が会う約束をしていたのは、演劇部の部長で学園の女王様でもある上月(KOUDUKI)であった。以後、学園内で美子の霊を見たという噂が立ち、様々な霊現象が頻発し始める。担任の牧(MAKI)先生が職員会議に掛けるも、騒ぎを大きくしたくない園長は全く取り合わない。その後も美子の霊に襲われた演劇部の千夏(CHINATSU)が入院するといった事件が起こり、牧は独自で霊現象や学園の過去について調べ、学園が昔孤児院だった事を突き止める。美子の霊は、そして子供達の霊は一体何を訴えようとしているのだろうか…?
 この作品も絵柄や舞台設定等に、発表された時代にそぐわない貸本漫画の様な古さを感じるが、内容自体は「霊達の訴えに耳を傾けよう」といった、比較的新しい時代に流行ったオーソドックスな心霊漫画。美子の事件とその他の霊現象は実は別物で、2つの事件が絡み合って読者にミスリードを起こさせる要素は凝った作りであり、都市伝説系の様々な怪現象を数多く詰め込みながらも、「孤児院だった頃に虐待されて殺され、人知れず埋められていた子供達の霊が、自分達の事を知らせる為に現れていた」という1つの大きな理由に全て集約されている点は非常に纏まりが良く、心霊漫画のお手本と言っても良いなかなかの良作。

 「呪われた人形(NOROWARETA NINGYOU)」 なかのゆみ(NAKANO YUMI)・・・・・1984年12月6日発行の描き下ろし単行本で、後に「夜がこわい!呪われた人形(YORU GA KOWAI! NOROWARETA NINGYOU)」、更に後に「死を呼ぶ呪われた人形(SHI WO YOBU NOROWARETA NINGYOU)」というタイトルに改題して再版。
 忙しい両親には構って貰えず、お手伝いさん達も、ケガをさせたり泣かせたりしたらクビにされてしまうからと、余り本気で遊び相手になってくれない。友達も居らず寂しい思いをしていたリサ(RISA)は、庭で拾った人形にモモ(MOMO)という死んだ妹の名前を付けて大事にするが、その人形を異常なまでに毛嫌いする母は、お手伝いさんに命じて人形を捨てさせてしまう。実はその人形は、醜い姿だった為に産まれてすぐに殺されてしまったリサの妹・モモの化身であった。母はモモの復讐に遭って殺され、殺人の疑いを掛けられた父は発狂して入院してしまうが、再び庭で人形のモモを拾ったリサは、小学校に入学して友達も大勢出来、優しい叔母や無実だった事が解り退院して家に戻って来た父達に囲まれ、明るくスクスクと育っていった。
 しかしある日家に遊びに来た友達の1人がモモを見て恐れ、物置に仕舞おうとした際に指を噛まれた事から、リサ自身もモモの事を恐れる様になり、リサに裏切られたと思ったモモは本性を現して、リサへの復讐を開始する。リサがモモの肩を触ると、モモの肩が人間の皮膚の様に綺麗になり、逆にリサの肩は人形の様に固く醜くなってしまった。リサと入れ替わって人間になろうとするモモの企みを知ったリサは、以後絶対にモモに触らない様にするが、叔母の恋人の林(HAYASHI)がモモの顔に触った所、リサとモモの目と口が入れ替わってしまう。林はモモに殺され、醜い顔になってしまったリサは、叔母の見舞いにも林の葬式にも行けず、顔を隠したまま人知れず家を出る。そして…。
 モモの弱点は人間の持つ優しい心であり、最初の内はリサがモモに優しく接していた為に、手も足も出せなかったとの事。作中では説明が無かったが、母がモモに殺されたのも、モモに対して向けた憎しみの心がそのまま自分に返されたのだと考える事が出来るかも知れない。気の毒なのはとばっちりを受けた林と叔母の美春(MIHARU)だが…。リサは性格も外見も非常に可愛らしい萌え系の美少女であり、(母と林は死んでしまったとは言え)一応のハッピーエンドを迎えた事は救いだったと言える。言葉の語尾に「〜ネ」「〜ヨ」などと付けるのが特徴的で、そうした点も作品全体の雰囲気作りに一役買っている。

 「呪いのワンピース(NOROI NO One-piece)」 好美のぼる(YOSHIMI NOBORU)・・・・・1984年2月15日発行の描き下ろし単行本。
 三重子(MIEKO)の父が再婚し、義母と連れ子のたま子(TAMAKO)を含む4人での生活が始まった。三重子とたま子は同級生であり、表面上は皆仲良くしていたが、実は義母とたま子は裏で三重子に対して陰湿な虐めを行っていた。三重子とボーイフレンドの飯田(IIDA)に、たま子が嘘の約束を伝えた事から2人は不仲となり、飯田に対して行われた嫌がらせが三重子の所為だと思われてしまった事が決定打となって、ショックを受けて倒れた三重子は入院してしまう。三重子は生前母と一緒に買いに行ったペアールック用の服地を、母との最後の思い出として大事にしていたが、入院する際にその服地を義母とたま子に取り上げられてしまい、2人がその服地を使って自分達用のペアールックを作ろうとした事から、恐ろしい出来事が起こり始める…。
 本題に入るまで、ひたすら三重子が虐められて不幸になっていく様子が100ページ以上にも渡って描き綴られており、これもその後の反転を描く上で必要な部分だと解っていながらも、読んでいて結構鬱な気分にさせられてしまう。三重子の母の思いが込められた服地を奪おうとするに至って、ようやく義母とたま子がこれまでの報いを受ける事になる訳だが、「先妻の亡霊なんかにまけてたまるもんですかッ」と、執念でペアールックを完成させる義母の根性もかなり凄い。最後はたま子のバースデーパーティー中に、ペアールックを着た2人が化け物の姿と化して同級生や父に逃げられ、療養所で回復した三重子の許に父と飯田が迎えに来てハッピーエンドとなるのだが、義母とたま子がその後どうなったかについては全く触れられていない。せめて「心の醜さがそのまま外見に現れた」とか、「今までの行いを全部白状して、父とも離婚した」といった、取って付けた様な説明でも良いから、何らかのフォローはして欲しかった…。
 でも面白かったです。同作者の作品は昔「眼裂け女(MESAKE-ONNA)」を読んだ事があって、これも何時か入手したいと思っているのですが、他の物も出来ればもっと色々読んでみたいですね。
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怖そうです
 「呪いのワンピース」以外はタイトルが手描きっぽく、恐怖マンガとしての時代を感じさせます。個人的にハッピーエンドが好きなのですが、好美のぼる氏のハッピーエンドは物凄く強引なこじつけが多いと聞きます。「呪いのワンピース」もそのタイプの様ですね。
甘茶 URL 2010/12/02(Thu)21:00:28 編集
無題
 甘茶さん、言われてみれば確かにタイトルロゴにもそれぞれ味がありますね。詳しい事は解りませんが、もしかしたら作者の自筆である事も多いのかも知れません。タイトルだけでは全く中身が想像出来なかったり、逆にタイトルで内容を全て説明してしまっている事も多く、そうした点がB級たる所以だとも言えそうです。好美のぼるの作品では、他に「呪いのホクロ」や手相シリーズなんかも押さえておきたい所です。
manken99 2010/12/02(Thu)23:49:15 編集
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