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漫画読書日記

自己満足の為の読書感想文。

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最近購読した漫画115.5【少年漫画(お茶にごす。)】

 今回の「お茶にごす。」全11巻は、2010年12月25日にまず帯無しで1~7巻を購入した後、12月31日に帯付き初版で10・11巻を、2011年2月4日に帯付き初版で8・9巻を購入して、一度は全巻揃え終えたのですが、この後1~7巻も全て帯付きを探して買い直すのに、+1年5ヶ月程の年月を要しました。ダブった分の1~7巻は友人にあげる事で布教に役立てたので、まぁそれは別に良かったのですが、二重に余計な苦労をしてしまったので、初版時に帯を付けたのであれば、出来れば再版時にも同じ帯を付けて貰いたいものだと、つくづく思います。アニメ化とかゲーム化とか、時期を限定する内容の場合は仕方無いかも知れませんが、単に中身を紹介する程度の物なら、初版時であろうと再版時であろうと構わない訳ですからね。遅れてその漫画のファンになった読者にも、「帯」というオマケを手に入れるチャンスがほしいと、まぁそういう訳なのですよ。
 …しかし、そこまで帯に拘る人ってどれぐらい居るのかな…。


 「お茶にごす。(OCHA NIGOSU。) ①
 西森博之(NISHIMORI HIROYUKI)

 小学館 少年サンデーコミックス。2007年8月15日初版第1刷発行。定価:本体390円+税。「週刊少年サンデー」2007年第18号~連載。中学時代は悪魔(Devil)と恐れられた不良の船橋(FUNABASHI)が、優しい茶道部の姉崎(ANESAKI)部長に憧れ、茶道部に入部。茶道を通じて真の優しい人間になる事を学んでいく学園コメディー。①巻には第1服~第9服の全9話を収録。

 第1服 茶道部(SADOU-BU)・・・望まぬ喧嘩を吹っ掛けられては悉く相手を撃破し、悪魔の異名を持つ船橋は、ほのぼのスクールライフを送るべく部活を始める事にするが、勧誘員達は皆船橋を恐れて誰も話し掛けてこない。そんな中、唯一話し掛けてきてくれた茶道部の姉崎部長の優しさに興味を抱いた船橋は、茶道部へと入部する。
 第2服 部活初日(BUKATSU SHONICHI)・・・船橋が悪魔と噂されている事を恐れる女子部員達。部長から「一期一会」という言葉を教わる船橋だったが、夏帆(KAHO)は部長を守りたい一心で船橋に突っ掛かる。
 第3服 アニメ部(Anime-BU)・・・喧嘩をしたくない船橋は、山田(YAMADA)に言われた通り不良たちの呼び出しに応じず逃げ回るが、間違えて茶道部の隣りのアニメ部部室へ入ってしまい、騒動を起こす。
 第4服 土下座(DOGEZA)・・・結局不良達を殴ってしまい、暴力の連鎖を断ち切る為には謝るしかないと山田に言われるが、どうしてもそれは出来ない船橋。山田も茶道部に入部するが、そこへ現れた顧問の縦島(TATEJIMA)先生から、例を示せと土下座を要求される。
 第5服 漢の意地(OTOKO NO IJI)・・・男子部員を辞めさせる為に、ネチネチといびる縦島先生。頑なに抵抗して、絶対に土下座はしない船橋と山田に、先生も根負けしてしまう。
 第6服 怒り(IKARI)・・・アニメ部部室で船橋に殴られた怒りが収まらない北沼(KITANUMA)は、腹癒せに発端となった沢村(SAWAMURA)の漫画の原稿を破り捨てる。それを知った船橋と夏帆は北沼の許へ…。
 第7服 大切なモノ(TAISETSU NA MONO)・・・北沼を見付けて抗議する夏帆、そこへ現れた船橋。北沼が大事にしていると言う兄貴から貰ったバイクを蹴倒し、躊躇無く火を放つ。
 第8服 炎上(ENJYOU)・・・船橋がバイクを燃やした現場に駆け付けた山田と沢村と女子部員達。山田に諭された船橋は、燃やしたバイクに申し訳無さを感じるのだった。
 第9服 痛車(ITASHA)・・・燃やしたバイクを修理する船橋達。一方、恐ろしい現場を目撃した女子部員達は、相談し合って船橋に茶道部を辞めて貰う決断を下す。

 喧嘩を望まず優しい人間になりたいと思っている船橋は、それ故に、自ら暴力を抑制出来る面を持っている所が、今までの主人公とは違う点だと言える。但し暴走してしまう面も少なからずある様で、例えば「第3服 アニメ部」で、北沼に落書きされそうになった沢村の原稿を手で庇ったのは優しさから取った行動だが、その後北沼を殴り飛ばしたのは手の甲をペンで刺されたからだと言っているし、北沼のバイクを燃やしたのも、元はと言えば沢村の原稿が破かれた事に対する仕返しだった訳だが、仕返しを通り越して、北沼を懲らしめる事自体に喜びを見出している様に思える節もあり、こうした所がまだまだ未熟な部分であり、故に茶道部で修行する必然性もあるといった所なのだろう。とは言え沢村が半年も掛かって描き上げた原稿を破り捨てる北沼の行動は余りにも酷く、やり過ぎるぐらいに懲らしめてやった方がスカッとする事も事実。
 船橋が目指すべき真の優しさを持った姉崎部長は非常に魅力的な女性であり、全茶道部員が憧れているのも納得なのだが、学園恋愛物としては、事ある毎に主人公に突っ掛かってばかりいる夏帆の方が、ヒロインフラグ立ちまくりといった印象を受ける。茶道部員の殆どが女性である為、女性キャラの比率が高い点も魅力だが、不良とは相容れない存在である、オタクのアニメ部員が早くも3話目から登場し、いきなり親しくなっている点も何だか嬉しい。とにかく面白過ぎる作品だ。



 「お茶にごす。(OCHA NIGOSU。) ②
 西森博之(NISHIMORI HIROYUKI)

 小学館 少年サンデーコミックス。2007年11月21日初版第1刷発行。定価:本体390円+税。「週刊少年サンデー」2007年第18号~連載。中学時代は悪魔(Devil)と恐れられた不良の船橋(FUNABASHI)が、優しい茶道部の姉崎(ANESAKI)部長に憧れ、茶道部に入部。茶道を通じて真の優しい人間になる事を学んでいく学園コメディー。②巻には第10服~第19服の全10話を収録。

 第10服 茶室(CHASHITSU)・・・茶杓を耳掻きと間違える船橋(FUNABASHI)、孫の手だと嘘を吐く夏帆(KAHO)。優雅にお茶を点てる部長。ごく日常的な茶道部部活の一幕。
 第11服 帰り道(KAERIMICHI)・・・部長と一緒に帰る事になった船橋。ゴミや不良ばかり視界に入る船橋と、空や樹木を見ている部長。同じ道を歩いていても見ている物が違う部長に対し、自分との間に距離感を感じる船橋だったが…。
 第12服 禁煙(KINEN)・・・船橋と部長が一緒に帰っていた丁度同じ頃、夏帆や智花(CHIKA)と一緒に帰っていた山田(YAMADA)は、電車の中でタバコを吸っていた軽挙(KEIKYO)高校の不良を懲らしめる。
 第13服 サボり(SABORI)・・・朝から駅の立ち食いうどん屋は爆笑の渦に。今日は休めない部活の日であるにも関わらず、待ち伏せを危惧し部活をさぼって1人で帰る事にした山田は、案の定軽挙高校の不良達に絡まれる。
 第14服 誓い(CHIKAI)・・・茶室で他の部員達が来るのを待っている船橋と夏帆。「皆に迷惑を掛けない」「茶道を真面目にやる」「暴力を自ら振るわない」という誓いを立てる船橋だったが、山田が軽挙高校の不良達に連れて行かれたと聞いて、躊躇無く飛び出して行く。
 第15服 軽高ゲーム(KEIKO-Game)・・・腹を殴られる間動いてはいけない。動けば罰ゲームでもう1回殴られるという、軽挙高校に伝わる臆病(Chicken)ゲームを受ける事になった山田。何度も「動いた」と言ってはやり直しさせられ、敢えて倒れたまま後腐れ無く終わろうとしていた所へ、船橋が駆け付けて山田と交代する。
 第16服 ルール(Rule)・・・先に石島(ISHIJIMA)に殴られる間全く動かず、船橋が殴る番となった。確実に一発で相手を沈めていく船橋だったが、飽くまでルールに則ってゲームを続け、後に茶室へ戻った時に「暴力は振るわなかった」と言い逃れをする船橋と山田であった。
 第17服 正座バトル(SEIZA-Battle)・・・茶室にて、何故か正座で勝負する事になった船橋・夏帆・山田・智花の4人。船橋が、蜘蛛が苦手という意外な弱点が明かされる。
 第18服 間接(KANSETSU)・・・部長や女子部員達との間接キスを狙って、濃茶を飲ませて貰う事にした船橋と山田。しかし他の女子部員達は委員会の為部活に出られず、亭主の部長はお茶を飲まない。縦島(TATEJIMA)先生・船橋・山田の男3人で1つのお茶を回し飲みする羽目に…。
 第19服 過去(KAKO)・・・船橋が、蜘蛛が苦手となった中学時代の出来事を皆に話す。次いで、船橋と山田の出会いを訊ねる部長。それは小学三年生の頃、山田が拾った珍しいクワガタを、六年生に奪われた事から始まった。

 「第10服 茶室」「第11服 帰り道」「第17服 正座バトル」「第18服 間接」といった、大きな事件と事件の間のインターバル的な話が目立つが、その殆どは部活関連の内容であり、「不良漫画」ではなく「茶道漫画」としては、むしろそちらがメイン。まだ部活絡みの大きな事件が無い様な印象を受けるが、「第14服 誓い」で3つの誓いを立てる場面は、今後も「望んで暴力は振るわない」=「人助けの為だけにその力を活用する」といった作品上のルールが明確にされた重要エピソードであるとも言える。そしていよいよ「第1服 茶道部」で少し触れられていた、船橋の修羅の道が始まったと言う、山田との出会いのエピソードへ。カブト虫がクワガタに変わっているが、回想の中でも船橋はクワガタの名前を「ノコギリ虫」と間違って言っていたので、恐らく本人の記憶違いなのだろう。六年生の後に中学生が控えているであろう事も既に「第1服」での話から解っており、小学三年生を虐める為にドンドン上の者が出しゃばって来るという許すまじき外道の登場に、この先を読み進める事が非常に心苦しく感じられてしまうのだが…。



 「お茶にごす。(OCHA NIGOSU。) ③
 西森博之(NISHIMORI HIROYUKI)

 小学館 少年サンデーコミックス。2008年2月23日初版第1刷発行。定価:本体390円+税。「週刊少年サンデー」2007年第18号~連載。中学時代は悪魔(Devil)と恐れられた不良の船橋(FUNABASHI)が、優しい茶道部の姉崎(ANESAKI)部長に憧れ、茶道部に入部。茶道を通じて真の優しい人間になる事を学んでいく学園コメディー。③巻には第20服~第29服の全10話を収録。

 第20服 戦い(TATAKAI)・・・実は一年生が落とした物だったクワガタを、六年生の木葛(KIKATSU)から取り戻しに行くのを、船橋が手伝ってくれると言う。最初は木葛を恐れコソコソしていた山田(YAMADA)だったが、船橋と共に2人の六年生に立ち向かい、見事勝利する。しかしまだ虫は返して貰っていないと言う船橋、そして兄を呼びに行く木葛。
 第21服 中学生(CHUUGAKUSEI)・・・中学二年生の兄を連れて来た木葛。「謝れ」と脅す木葛の兄に頑なに抵抗するも、腕力では敵わず、わざと追わせて階段から突き落とすという方法に出る船橋。山田が船橋を連れて家に戻ると、木葛の父親が怒鳴り込んで来ていた。
 第22服 大人(OTONA)・・・「悪い事はしていない」と、結局謝らなかった山田と船橋。木葛の父は「虫を返してやる」と2人を騙して山の中に連れて行き、船橋を殴り山田を崖から蹴り落として逃げる。置き去りにされた2人は…。
 第23服 侵入(SHINNYUU)・・・深夜に木葛の家に侵入し、ロープで縛り付けた木葛の父をタコ殴りにする船橋と山田。取り返したクワガタを一年生に返し、道すがら会った木葛の父を恐れず堂々と見据えて通り過ぎる2人に対し、木葛の父は最早何も言えなかった。
 第24服 ライバル・・・転んだお婆さんをクラクションで煽る乱暴な運転手を懲らしめた山田と船橋。しかし懲らしめた所だけを見られていた船橋は、部長に誤解され掛けてしまう。一方山田の評判は広まるが、その山田よりも更に上だと女子達に噂されている件の男が、自転車で転んで車に煽られている少年と、それを助けようとした部長の前に現れる。
 第25服 樫沢(KASHIZAWA)・・・部長の手を引き、乱暴な運転手から逃げ出した樫沢(KASHIZAWA)。それを見ていた船橋は、部長が路地裏に攫われそうになったと勘違いして樫沢に掴み掛かる。一応誤解は解けるが、部長の手を握った上に格好を付ける樫沢の事が、どうにも気に食わない船橋と山田であった。
 第26服 完璧(KANPEKI)・・・不良が多い軽挙(KEIKYO)高校にあって、男女問わず人望と人気があり慕われている樫沢。清掃活動を行っていた茶道部の前に、ゴミを捨てて喧嘩になり掛けた軽挙高校の不良達を止めに入った樫沢は、部長に告白しようとした所、ヒゲの濃さを船橋に指摘され、皆から笑い物にされてしまう。
 第27服 ブルー(Blue)・・・樫沢のヒゲの濃さを笑う皆を止めようとする部長だったが、しつこくその青さを指摘し続ける船橋の言葉に、部長もつい笑ってしまい、自己嫌悪に陥った部長は2日も部活を休んでしまう。船橋と山田は、嫌いな筈の樫沢に頭まで下げて協力を頼み、部長は元気を取り戻すが、同時に樫沢の株まで上げてしまうのだった。
 第28服 イケナイ事(IKENAI KOTO)・・・清掃活動での一件を皆に注意して回る部長だったが、夏帆の説得と山田の説得は失敗。そして船橋の説得は…。
 第29服 ムキ(MUKI)・・・帰り道で一緒になった樫沢に又も暴言を吐く船橋だが、部長の言葉を思い出し、樫沢が傷付いているのではないかと、「掛かって来い」と言う樫沢の挑発に乗らずにその場を走り去る。その態度に屈辱を感じた樫沢は、不良達を嗾けて船橋を倒そうと企むが…。

 船橋と山田との出会いのエピソード、そして今後も何かと絡む事になる、部長を巡る恋敵の樫沢が登場。ほぼ全編がこの2つのエピソードで占められる。小学三年生を虐める六年生、中学二年生、息子達の悪事を棚に上げ、山田の家にまで怒鳴り込んで来た挙句、何も悪くない子供達を殴り飛ばして山の中に放って帰る父親…と、木葛一家は本当に許せない外道中の外道。特に父親は、個人的には歴代の西森作品の中でも1、2を争う悪党だと思え、このエピソードは読み進める事が非常に心苦しかった。それだけに、最後には勝利する船橋と山田の活躍、特に、特別強くも無い普通の少年だった山田が、勇気を出して相手に向かって行ったり「自分達は悪くない」との立場を貫くシーンには、胸が熱くなる思いがした。他人の為にここまで出来る船橋も、この時点で既に十分な優しさを持った立派な男だったと思う。
 樫沢は「今日から俺は!!(KYOU KARA ORE HA!!)」の高崎(TAKASAKI)や「天使な小生意気(TENSHI NA KONAMAIKI)」の小林(KOBAYASHI)と同タイプの完璧に近い人物だが、不良の多い軽挙高校のトップだけあって、少なからず「悪」な部分を持ち合わせている所に、明確な違いがある。登場間も無くいきなりヒゲが濃いという弱点が暴露されてしまったが、こうした意外な弱点の存在は、むしろ近寄り難い完璧さに親近感を齎す要素でもある様に思う。腰巾着の桂木(KATSURAGI)が何だか可愛らしい。



 「お茶にごす。(OCHA NIGOSU。) ④
 西森博之(NISHIMORI HIROYUKI)

 小学館 少年サンデーコミックス。2008年5月21日初版第1刷発行。定価:本体400円+税。「週刊少年サンデー」2007年第18号~連載。中学時代は悪魔(Devil)と恐れられた不良の船橋(FUNABASHI)が、優しい茶道部の姉崎(ANESAKI)部長に憧れ、茶道部に入部。茶道を通じて真の優しい人間になる事を学んでいく学園コメディー。④巻には第30服~第39服の全10話を収録。

 第30服 卑劣(HIRETSU)・・・暴力を振るわない誓いを立てている為、不良達に絡まれても逃げる事に徹する船橋。しかしとうとう捕まってしまい、無抵抗で殴られ続ける。
 第31服 選択肢(SENTAKUSHI)・・・しつこく船橋を殴り続ける不良達に、嗾けた樫沢(KASHIZAWA)も動揺を感じ始めるが、この時樫沢が取り得る選択は3つあった。夏帆(KAHO)が突き飛ばされた事で、船橋は不良達を叩きのめすが、ここで出て行くべき樫沢がまごまごしていた為、裏で糸を引いていた所を見付かってしまうという最悪の展開に。
 第32服 わざと(WAZATO)・・・樫沢が陰で不良達を操っていた事を、皆の前で暴露する夏帆。樫沢は悪に徹する事を選び、夏帆の許しを得た船橋との直接対決と相成った。
 第33服 合宿(GASSHUKU)・・・縦島(TATESHIMA)先生が居る茶室を避け、隣りのアニメ部部室へ向かった山田(YAMADA)と船橋。部員を合宿に誘いたいアニメ部部長・柏井(KASHIWAI)から、合宿の醍醐味たる打ち明け話を聞かされ、自分達も合宿へ行きたい気分になってくる。
 第34服 他人(TANIN)・・・合宿の話をしながら一緒に帰る柏井・船橋・山田の3人。中学時代に柏井を虐めたと言う小宮(KOMIYA)と駅で出会い、虐め自慢を始める小宮の前に、柏井の友達だと言って船橋が立ち塞がる。
 第35服 先生(SENSEI)・・・肝試しの良さを力説し、船橋をその気にさせた山田は、女子部員達に合宿へ行く相談を持ち掛けようとするが結局言い出せず、縦島先生に相談する事に。
 第36服 竹ヤリ魔(TAKEYARI-MA)・・・夏休み、解らない宿題を放り出してジョギングに出た夏帆。川向こうを走る人影に対抗心を燃やし後を追うと、それは何と船橋であった。川を流される猫を長い竹竿で助けようとする船橋だが、傍目には虐めている様にしか見えず、警察に通報されてしまう。
 第37服 縁(EN)・・・船橋を目撃した帰りに山田と会い、縁があると言われて悪い気はしない夏帆。今度は、船橋が先程助けた猫と話している所に出会した部長の姿を目撃する。
 第38服 禅寺(ZEN-DERA)・・・副部長・慎大寺(SHINDAIJI)の親戚の禅寺へと合宿に向かった茶道部一向。体験教室としては厳しいらしいという話に加え、更生中らしき場違いな不良達の登場に、前途多難といった所だが…。
 第39服 シマシマ(SHIMASHIMA)・・・絡んでくる不良達を相手にしない船橋と山田。ザトウムシの出現に驚きまくり笑われる船橋だったが、部長を襲うスズメバチには果敢に立ち向かう。

 卑劣な自分のやり口に内心動揺しながらも、悪の道に徹する樫沢は、これはこれで立派な態度だと言わざるを得ない、かなり憎めない悪役だ。この後の肝試しや文化祭で不憫な役所を演じる事になるのが、少々気の毒にも思えてくる。そしていよいよ中盤の最大イベント・合宿編へと突入する事になるのだが、合宿の話が出てから実際に出掛けるまでに、かなりの話数を要している事にも注目したい。「第33服 合宿」のラストで縦島先生が茶室から出て来た所から、「第35服 先生」の中盤にて縦島先生に相談する所まで、一気に間を飛ばして目的を果たしても良さそうに思えるが、そうせずに柏井と小宮のエピソードや、女子部員達に合宿の相談を切り出せないエピソード等を挿む事で、目的を果たすまでの時間の経過と、そう簡単に目的は果たせないというリアリティーが齎されている。細かい部分では、虐められていたという打ち明け話をした後の柏井や、部員達に合宿の話を切り出した後の縦島先生が、言った事を少し公開して思い悩んでいる様子にも、非常に高いリアリティーを伴ったあるあるネタとしての共感を覚えずには居られない。夏休み中の日常の一幕を描いた「第36服 竹ヤリ魔」「第37服 縁」のエピソードも楽しい。



 「お茶にごす。(OCHA NIGOSU。) ⑤
 西森博之(NISHIMORI HIROYUKI)

 小学館 少年サンデーコミックス。2008年8月16日初版第1刷発行。定価:本体400円+税。「週刊少年サンデー」2007年第18号~連載。中学時代は悪魔(Devil)と恐れられた不良の船橋(FUNABASHI)が、優しい茶道部の姉崎(ANESAKI)部長に憧れ、茶道部に入部。茶道を通じて真の優しい人間になる事を学んでいく学園コメディー。⑤巻には第40服~第49服の全10話を収録。

 第40服 右手(MIGITE)・・・誰もスズメバチに刺されずに済み、掃除の時間となった。しかし右利きなのに左手を使う船橋の様子を不審に思った部長は、船橋に右手を見せる様に言う。
 第41服 座禅(ZAZEN)・・・座禅の時間。考え事をしたり笑ったりして皆が次々警策を受ける中、船橋だけは無我の境地に達し宇宙を見ていた。そこへ不良達が警策(KYOUSAKU)を持って邪魔をしに入り…。
 第42服 大嘘(OOUSO)・・・不良達が警策で船橋を叩く様子を見ていた山田(YAMADA)は不良達と揉め掛けるが、そこへ坊主の内藤(NAITOU)が戻って来て、不良達に説教を始める。不良達はボスに脅されていてチームを抜けられないと言い、彼等の力になってやると言う内藤と共に寺を出て行くが…。
 第43服 文字(MOJI)・・・不良達をチームから抜けさせる為、無抵抗でリンチを受ける内藤。これで不良達はチームを抜けられる筈だったが、事が終わってから、又チームに戻りたいと言い出し、ここへ来てようやく内藤は自分が騙されていた事に気付く。ボロボロになった内藤が帰って来た所に出会す茶道部の面々。内藤の背中にはペンキで酷い落書きが…。
 第44服 意志(ISHI)・・・落書きの事を内藤に悟らせない為、内藤の作務衣(SAMUE)を破く船橋。部長が止めるのも聞かず、文句を言いに行くと言って、船橋と山田は寺を出て行く。
 第45服 演技(ENGI)・・・不良達を懲らしめた船橋と山田は、不良の高村(TAKAMURA)に、良い奴になった演技を一生続ける様命令して事を終えるが、帰り道、部長を置いて寺を飛び出して来た事を後悔する船橋であった。
 第46服 嘘(USO)・・・船橋と山田の帰りを待つ部長・夏帆(KAHO)・智花(CHIKA)。部長に本当の事を言うべきか嘘を吐くべきか悩む船橋。
 第47服 優しさ(YASASHISA)・・・嘘を吐く事に決めたものの、やはり気が重い船橋。最初に山田が吐いた嘘を、本当ですかと船橋に確認する部長。そして船橋は…。
 第48服 試練(SHIREN)・・・茶道部の面々が合宿へ行く為駅で待ち合わせている所を見掛け、実は禅寺まで付いて来ていた樫沢(KASHIZAWA)と桂木(KATSURAGI)。修行を頼み込むが内藤に門前払いされ、やる気を試されているのだと聞いた樫沢は、そのままずっとその場を動かずに待ち続けるのだった。
 第49服 写経(SHAKYOU)・・・2日目の夜も更け、思い出作りの為にと写経を提案する部長。その提案にNGを出した山田は、かねてからの目的であった肝試しを提案し、ペアを決める為のクジ引きが始まった。

 やはり起こってしまった不良達との騒動を経て、樫沢と桂木の登場に、合宿最大のワクワクイベント・肝試しの開幕と、合宿編もいよいよ佳境に。騙された事に気付いて心身共にボロボロの内藤への、背中に落書きという追い討ちは余りにも酷く、①巻での沢村(SAWAMURA)の漫画の原稿を破いた北沼(KITANUMA)の行為や、③巻での何も悪くない子供達を殴り飛ばして山の中に置き去りにした木葛(KIKATSU)の父の行為と、同等のショックと憤りを禁じ得なかった。それだけに、その後の不良達を懲らしめに行く場面では本当に胸がすく思いがしたものだが、船橋と山田にとっては、これ自体はそれ程重要な事ではなく、部長の居る前で暴力を振るいに出て行った事、そしてノコノコと戻って来た事の方が余程重大事項である様だ。ここでも部長の優しさが強調され、この作品が、ただ単に不良が力で揉め事を解決するだけの単純な内容ではない事が解る。樫沢と桂木が実はすぐ側まで来ていたというのは意外な事実だったが、良く見ると、その事が明らかとなる「第48服 試練」の前話「第47服 優しさ」の時点で、判りにくい様に寺の門の横に2人の人影が既に描かれている点が、芸が細かい(P140の1コマ目と2コマ目)。


 「お茶にごす。(OCHA NIGOSU。)」 ⑥
 西森博之(NISHIMORI HIROYUKI)
 小学館 少年サンデーコミックス。2008年11月23日初版第1刷発行。定価:本体400円+税。

 「お茶にごす。(OCHA NIGOSU。)」 ⑦
 西森博之(NISHIMORI HIROYUKI)
 小学館 少年サンデーコミックス。2009年2月23日初版第1刷発行。定価:本体400円+税。

 「お茶にごす。(OCHA NIGOSU。)」 ⑧
 西森博之(NISHIMORI HIROYUKI)
 小学館 少年サンデーコミックス。

 「お茶にごす。(OCHA NIGOSU。)」 ⑨
 西森博之(NISHIMORI HIROYUKI)
 小学館 少年サンデーコミックス。

 「お茶にごす。(OCHA NIGOSU。)」 ⑩
 西森博之(NISHIMORI HIROYUKI)
 小学館 少年サンデーコミックス。

 「お茶にごす。(OCHA NIGOSU。)」 ⑪
 西森博之(NISHIMORI HIROYUKI)
 小学館 少年サンデーコミックス。
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