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漫画読書日記

自己満足の為の読書感想文。

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最近購読した漫画117【古本/ホラー漫画】



 11/29に行った大学前の元古本街にある古本屋に、ようやく再び足を運んで来ました(最近購読した漫画88【古本/ホラー漫画(ひばり・立風)】参照)。前回買い残したプレミア価格の付けられた物を全て買い尽くすつもりで行ったのですが、結局又何冊か買わずに残して来てしまいました。暫く様子を見た所で、値段が下がったり、他の店で同じ本をより安い値段で見掛けたりする事はまず無いだろうとは思うのですが、この「敢えて今日の所は買わないでおこう」という気持ち、解って頂けるでしょうか?
 前回この古本屋に行った時、実店舗では一度も見掛けた事の無かった、ひばり書房や立風書房のホラーコミックスをたくさん見掛けた事に非常に感激した私ですが、「レア物の価値をよく解っていて、高値で取り引きしている大きな古書専門店」では、恐らく大して珍しい物ではないのだろうと思います。しかしごく身近に昔から存る普通の個人経営の店でこういう古い本を見付けると、発刊当時からずっとこの場に残り続けているのではないかといった、何とも言えない郷愁に駆られるのですよ。敢えて数冊買わずに残したのも、次に来た時の楽しみを残しておこうという意図に基づいた、実に説得力が有って理に適った行動である訳なのですが、こんな事をしていて、万一買い残して来た物を誰かに先に買われてしまったりしたら、ただの馬鹿ですよね…。
 今回の本は1/25・2/4・2/11・2/12に入手及び購入した物。「入手」は1/25に友人から貰った「ホラーコミック傑作選 第1集 HOLY」です。

 「夜、教室にうかぶ首(YORU、KYOUSHITSU NI UKABU KUBI)」 浜慎二(HAMA SHINJI)・・・・・1985年7月15日発行の描き下ろし単行本。則子(NORIKO)・真由子(MAYUKO)・ミドリ(MIDORI)はクラスでも成績の良い仲良し三人組。初の女子会長を狙い、クラス代表として児童会長選挙に立候補する事になった則子の事を、クラスの男子達が中心となって応援する中、その事が話題に上る度に元気が無くなる真由子。そんな中、則子が顔や手首だけの幽霊を目撃したり、則子の応援演説を行っていたタケシ(TAKESHI)やミドリの飼い犬のハチ(HACHI)が何者かに襲われるといった事件が相次いで起こるのだが、実はそれは人知れず則子の事を妬んでいた真由子が起こした「ヴェール・ヴォルソ」と云う現象であった。これは肉体的にも精神的にも未発達な八才から十三才ぐらいまでの子供にのみ起こる現象で、強い恨みや嫉妬の心が無意識の内に体を抜け出し、頭と手首だけの生霊となって目指す相手の許へと向かい、遂には相手を仕留めるのだと言う。しかし目的を遂げると家族の誰かが犠牲になってしまうらしく、真由子の場合は弟の修司(SHUUJI)が体を壊して床に伏せってしまっていた。則子が児童会長に当選し、クラスの皆で当選パーティーをやろうという騒ぎになるに至り、真由子がまたもあの現象を起こす事を恐れた真由子の母は、車で則子を撥ねて入院させてしまうが…。
 「ヴェール・ヴォルソ」と云う現象は恐らく作者の創作だと思うが、普段の日常生活を細かく描写する事で、非現実的な内容にリアリティを持たせる事に成功している。主人公の女の子が塾に通っていたり、他者からの妬みを買い、夜の学校で手首だけの霊に襲われるといった内容は「学校で夜、幽霊が!(GAKKOU DE YORU、 YUUREI GA!)」と共通しており、タイトルも似ている為ややこしいが、読み比べてみると、こちらにはギャグっぽく和まされるシーンが多い事や、悲劇的なラストといった明確な違いがある事が解る。主人公の則子も、外見や性格や家族構成等は他作品と似通っているものの、ギャグ調の崩し顔が多い点や「児童会長」という肩書きも手伝ってか、他作品の主人公よりも少し魅力的に思える。

 「悪魔の復讐(AKUMA NO FUKUSHUU)」 広永マキ(HIRONAGA MAKI)・・・・・1986年5月25日発行の描き下ろし単行本。会社が詐欺紛いの商売を行っていた為、世間からの非難を浴びて自殺してしまった父を持つ影山はるみ(KAGEYAMA HARUMI)は、その事から暗い性格になり、かおり(KAORI)達のグループから虐めの恰好のターゲットとされてしまっていた。唯一味方をしてくれた委員長の森本(MORIMOTO)に憧れを抱くも、彼は美人の美子(YOSHIKO)と付き合っており、無視を決め込んで虐めに耐え続け、時田早苗(TOKITA SANAE)と云う美術部員の親友が出来るも、彼女は不出来な学園祭への出品作を自分自身の手で壊したにも関わらず、その事をはるみの所為にしてしまう。誰も信じられなくなってしまったはるみは、古本屋で見掛けた呪術の本を読み、時田・かおり・美子に次々と呪いを掛けていく。
 先生同士の会話や、表面でしか生徒達の事を判断せず、本質を見誤っている所などはかなりリアルに描かれており、虐めがテーマとなっている事は確かなのだが、呪いを掛ける事に次第に喜びを感じる様になっていくはるみの行動は、やられた事への報復にしては明らかに度が過ぎており、最後に大きなしっぺ返しを食らう事からも、「他人を呪ったり恨んだりする事」に対する戒めも含まれている様だ。父に化けて妹のみちよ(MICHIYO)に取り憑き、姉への不信感を植え付ける悪霊の存在は、物語上重要な役目を担っている筈なのだが、結局正体不明のまま勝手に退散する等、物語に上手く噛み合っていない印象が強い。悪霊の正体は父の会社で詐欺に遭って自殺した男の霊で、はるみを呪術の本に引き合わせたのも悪霊の企みだったという事にした方が、収まりが良かったのではないだろうか。最後が綺麗に纏まっておらず、投げ捨てた様な終わり方をしている事にも少々不満を感じるが、一応はるみ・時田・かおり・美子の四人が自分達の行いを反省した事と、「四人が回復するのも間近い」という一文が書かれていた事は、せめてもの救いだと言えるかも知れない。

 「白線上のアリア(HAKUSEN-JYOU NO Aria)」 杉山祐子(SUGIYAMA YUUKO)・・・・・恋人を事故で失って以来、孤独な死者の魂に共鳴し易くなった主人公・山岸遊星(YAMAGISHI YUUSEI)と友人・日高万里夫(HIDAKA MARIO)を描いたシリーズ4本を含む、7本の短編を収録した作品集。同作者の4册目の単行本で、遊星&万里夫のシリーズとしては「銀のレクイエム(GIN NO Requiem)」に続いて2册目となる。1992年2月20日発行。
 「真紅のアラベスク(SHINKU NO Arabesque)」は「月刊ハロウィン」1989年4月号に掲載。新体操部に所属するなつみ(NATSUMI)に、カセットテープを渡しに来た万里夫と遊星。壁に掛けられた大きな鏡に、クラシックバレエを踊る少女の姿を見掛けるが、鏡のこちら側にその少女の姿は無かった。鏡の下敷きになって入院したなつみは、少女の霊に取り憑かれ、夜毎病院を抜け出してバレエを踊り続ける。
 表題作の「白線上のアリア」は「月刊ハロウィン」1991年1月号に掲載。遠くから何時も遊星の事を見つめていた少女。ある日駅のホームから落ちて電車に撥ねられ、死んでしまった彼女は、霊となってからも遊星の事を見つめ続け、遊星を殺してあの世へ一緒に連れて行こうとする。
 「夏色のラプソディー(NATSU-IRO NO Rhapsody)」は「月刊ハロウィン」1991年8月号に掲載。1年前に恋人の彩香(AYAKA)と共に来た渓谷で、死んだ彩香の事を偲んでいた遊星。丁度近くのキャンプ場で小学校時の同窓会をする為に来ていた万里夫達と出会い、合流するが、そこで6年生の時に死んだと言う彼等の同級生だった少女・紫(YUKARI)と出会う。
 「FはフィルムのF(F HA Film NO F)」は1989年「月刊ハロウィン」増刊「ミステリーハロウィン」に掲載。海岸沿いの岬で撮影した映研の自主制作映画の背景に、崖から突き落とされる人影が映っていた。後に浜辺に打ち上げられた死体は遊星や万里夫達と同じ学校の女生徒であり、映研内に殺人犯が居るのではないかと、彼等は独自に調査を始める。
 「少女は真夜中に歩く(SHOUJYO HA MAYONAKA NI ARUKU)」は1989年「ほんとにあった怖い話」Vol.5に掲載。遊星&万里夫シリーズ最初の作品「銀のレクイエム」が実話を元に描かれたという衝撃の告白を皮切りに、霊感のあるアシスタントの女性と、彼女と共に行動していた時に自分も「見て」しまったという、様々な実話怪談を紹介。
 「吉丸くん2!? −よしまるくんの事情−(YOSHIMARU-KUN NO JIJYOU!? −YOSHIMARU-KUN NO JIJYOU−)」は未発表作品。ある日吉丸志郎(YOSHIMARU SHIROU)が目を覚ますと、意識だけが従兄弟の吉丸博史(YOSHIMARU HIROSHI)の体に入り込み、体を乗っ取ってしまっていた。志郎の肉体は急性肺炎で死亡して既に火葬済み。以後、眼鏡を掛けると博史、外すと志郎、そして2人が恋心を抱いている折原こよみ(ORIHARA KOYOMI)との、奇妙な三角関係が始まった。
 「特別版 遊TOPIA通信③(TOKUBETSU-BAN Utopia TSUUSHIN③)」は作者の近況を描いた描き下ろしの後書き漫画。
 霊が出て来ないミステリー仕立ての「FはフィルムのF」や、全編コメディの「吉丸くん2!? −よしまるくんの事情−」といった作品も含まれてはいるものの、死んでしまった者の哀しさや寂しさが描かれているという点が、全ての作品に於いて共通している。恐怖よりもまずそうした観点で死者を見つめる視線に、作者の優しさが強く表れている様に思うのだが、それだけに、どうしても作品の中で特定の人物を不幸に描かなければならない事に、心苦しさを感じている部分もある様だ。「可哀相な話を、狙って描く」のではなく、「作品の中で、可哀相な魂を救ってあげる」事こそが、作者の目指すべき方向である様にも思われる。作品のコンセプト故に、描かれる少女達は皆繊細且つ儚げで、非常に萌え萌えだ。

 「ホラーコミック傑作選 第1集 HOLY(Horror Comic KESSAKU-SEN DAI1SHUU HOLY)」 手塚治虫(TEDUKA OSAMU)・美内すずえ(MIUCHI SUZUE)・諸星大二郎(MOROHOSHI DAIJIROU)・日野日出志(HINO HIDESHI)・丸尾末広(MARUO SUEHIRO)・内田春菊(UCHIDA SHUNGIKU)・花輪和一(HANAWA KAZUICHI)・永井豪(NAGAI GOU)・萩尾望都(HAGIO MOTO)・・・・・1969〜1989年に発表された、9人の作家によるホラー作品を集めた中・短編集。1993年12月24日発行。
 「バイパスの夜(By pass NO YORU)」は「週刊ポスト」1969年10月10日号に掲載された手塚治虫の作品。深夜に乗ったタクシーの無愛想な運転手に、自分は一億強奪して来た殺人犯だと打ち明けて脅す客と、浮気した女房を殺害し、後ろのトランクにその死体が入っていると脅し返す運転手。果たして事実か狂言か?
 「白い影法師(SHIROI KAGEBOUSHI)」は「月刊ミミ」1975年10月号(創刊号)に掲載された美内すずえの作品。涼子(SUZUKO)が転入したクラスには、5年前から空席になっている席があった。かつてその席に座っていた病弱な女生徒が、友人に嫌われたくない一心で無理をして学校へ来て、6時間目に死んでしまったのだと言う。一度その席に座って以降、女生徒の霊に取り憑かれてしまった涼子は、このままでは取り殺されてしまうと言う霊能者の助言を受け、霊に打ち勝つべく、彼女が死んだ10月6日に再びその席に座り、運命の6時間目を迎える事となる。正統派の少女系ホラー漫画。
 「小人怪(KOBITOKAI)」は「漫画アクション」1988年1月5日号に掲載された諸星大二郎の作品。中国は唐の時代、謹厳実直で自分にも他人にも厳し過ぎる男が、同僚達に煽られ、夜毎怪異が起こると言う荒れ果てた屋敷で一晩過ごす事となる。果たして現れた小人の怪は、どうやらこれまでの彼の行いをそのまま真似ている様に思えるが…。
 「はつかねずみ(HATSUKANEZUMI)」は「少年画報」1970年15号〜17号に連載された日野日出志の作品。学校までの道中に在る薄汚れたペット屋で貰った2匹のはつかねずみ。産まれた子供を見ようとして指を噛まれた少年が、腹いせに餌をやらなかった事から、メスと子供を食べてカゴから逃げ出したオスは、次第に凶暴さを増し、体も大きく成長して、家の中を我が物顔に荒らし回る。
 「電気蟻 吾が分裂の華咲く時(DENKI-ARI WAGA BUNRETSU NO HANA SAKU TOKI)」は1986年「東京おとなクラブ」に掲載された丸尾末広の作品。町の騒音、親への不満、浪人である事への焦り、性欲。様々なストレスを抱えノイローゼ気味の青年の、現実と白昼夢の入り交じった奇妙な光景が次々と並べ立てられ、青年の死を思わせるラストで突然ブツッと終わる。激しいロック調の音楽を「見て」いるかの様な不思議な感覚の漫画。
 「雨の日は嫌い(AME NO HI HA KIRAI)」は「月刊ハロウィン」1989年7月号に掲載された内田春菊の作品。昔好きだった酒井(SAKAI)は交通事故で亡くなり、現在憧れている篠原(SHINOHARA)は友人の康子(YASUKO)と付き合っている。貧血の持病を持ち、デリカシーの無い両親にも不満を感じて、常に憂鬱な毎日を送っている園己(SONOKO)。ある日の水泳の授業の後、消えたパンツが何故か酒井の事故現場に…。
 「怨焔(ON EN)」は1979年「漫画アクション」増刊「スーパーフィクション」に掲載された花輪和一の作品。カッパを殺した父がたたりで死んで以来、カエルを見ると体中に醜い湿疹が出る様になってしまったおたえ(OTAE)。友人のおとみ(OTOMI)は、自分が好きな若だんなをおたえに奪われたと逆恨みして、たくさんのカエルと共におたえを風呂に閉じ込め、醜い姿となったおたえを自殺に追い込んでしまう。
 「心理恐怖オムニバス 霧の扉(SHINRI KYOUFU Omnibus KIRI NO TOBIRA)」は「週刊少年マガジン」1973年5月13日号に掲載された永井豪の作品。雪山で遭難した2人の男が、自分自身の幽霊に助けられるという「ふりむいた私(FURIMUITA WATASHI)」、老人対策の行き詰まりにより、六十歳になると必ず殺されてしまうという架空の近未来を描いた「赤いチャンチャンコ」、夢の中で大鎌を振りかざす謎の人物に襲われ、受けた傷がそのまま現実の肉体にも影響を及ぼす「鎌(KAMA)」の3本立て。
 「かわいそうなママ(KAWAISOU NA Mamma)」は「別冊少女コミック」1971年3月号に掲載された萩尾望都の作品。ティモシーのママ・エスタが家の窓から落ちて死んだ。エスタは恋人のマーティンを待ち切れずに今の夫と結婚したが、本当に愛しているのはマーティンであり、エスタを本当に幸せにしてあげられるのもマーティンただ1人だけだった。しかしそのマーティンはエスタの許を去り、結局死ぬまで会いには来なかった。ティモシーがママにしてあげられた事はただ1つ…。
 現在ではこの手のホラーアンソロジーコミックは数多いが、20年もの長期間に発表された中から選び抜かれた作家陣と作品群はかなりバラエティーに富み、質の高い様々な恐怖を堪能させてくれる。ホラー漫画を余り読まない人や、ここに名を連ねた作家の中に知らない人が多いと言う人には、特に入門書としてお薦めしたい1册。この本の発行当時は、数年前に発表されたばかりの新しい作品も含まれていた事になる訳だが、どれも大昔の作品となってしまった今では、「この作品の中で、この様な運命を辿った人々の事を、出来るだけ風化させる事なく覚えておいてあげたい」といった、郷愁にも似た感傷に駆られ、そうした思いも又何とも言えず心地良い。

 「闇の停車駅(YAMI NO TEISHAEKI)」 立原とうや(TACHIHARA TOUYA)&水原冬樹(MIZUHARA FUYUKI)・・・・・

 「金田一耕助ベスト・セレクション4 獄門島(KINDAICHI KOUSUKE Best Selection4 GOKUMON-TOU)」 横溝正史(YOKOMIZO SEISHI)&JET・・・・・横溝正史生誕百年記念として刊行された、あすかコミックスDX版金田一耕助シリーズ全4巻の内の4册目。

 「禁じられた恐怖夜話(KINJIRARETA KYOUFU YAWA)」 かがり淳子(KAGARI JYUNKO)他・・・・・2006〜2007年に発表されたホラー短編に描き下ろしを加えた、7人の作家によるホラーアンソロジーコミック。2008年7月30日発行。
 「ふしぎ岳キノコ一家(FUSHIGI-DAKE KINOKO IKKA)」は「ちゃおデラックス」2006年夏の超大増刊号に掲載されたかがり淳子の作品。山の中で道に迷ってしまった3人は、森の中に住むキノコの様な姿をした一家の世話になるが、夕飯に出されたキノコは人間を菌床にして増える寄生キノコであった。一家の企みを知った3人は何とか逃げ出すが…。
 「鬼ごっこは終わらない(ONIGOKKO HA OWARANAI)」は「ちゃおデラックス」2007年夏の超大増刊号に掲載された河村じゅん(KAWAMURA JYUN)の作品。ちなつ(CHINATSU)達は、鬼ごっこばかりやりたがる真衣(MAI)に意地悪をして、鬼ごっこの最中に皆で家に逃げ帰る事にするが、友人達は皆次々と事故に遭ったり行方不明になってしまう。真衣が10年前に事故に遭って死んだ少女の亡霊だと知ったちなつは、必死に逃げようとするが、とうとう捕まってしまい…。
 「彼女がそこにいる(KANOJYO GA SOKO NI IRU)」は「ちゃおデラックス」2006年冬の大増刊号に掲載された清水真澄(SHIMIZU MASUMI)の作品。「音楽室にある古い大きな鏡の前で好きな人に告白すると両思いになれる」という言い伝えを実行しようとしたミサ(MISA)は、告白しようとした相手が七恵(NANAE)の好きな大沢(OOSAWA)であった事から、七恵に邪魔をされて鏡に倒れ込み、大ケガをして死んでしまう。死んでも尚大沢に告白しようとするミサに、大沢が殺されてしまうと思った七恵は、その事を大沢に伝えようとするが…。
 「禁じられた井戸(KINJIRARETA IDO)」は「ちゃおデラックス」2007年夏の超大増刊号に掲載された栖川マキ(SUGAWA MAKI)の作品。死んだ人を生き返らせる事が出来るという言い伝えのある古い井戸。妃菜(HINA)は自分を助ける為に死んでしまった貴斗(TAKATO)を生き返らせるが、その井戸で生き返らせた者は1週間後に恐ろしい化け物になってしまう為、その間に自らの手で、生き返らせた相手を殺めなければならないのであった…。
 「せみの泣き声(SEMI NO NAKIGOE)」は「ちゃおデラックス」2007年夏の超大増刊号に掲載された牧原若菜(MAKIHARA WKANA)の作品。うるさいセミの鳴き声にイライラした結香(YUKA)は、飼い猫にセミを捕えさせるが、以後、セミの呪いでも受けたのか、自分自身が段々セミの様になっていってしまう。
 「闇に棲む影(YAMI NI SUMU KAGE)」は北村有香(KITAMURA YUUKA)による描き下ろし作品。山奥の別荘に泊まった葉月(HADUKI)・理加(RIKA)・ナオ(NAO)・涼(RYOU)の4人は、暗闇に潜み人間の目を奪う謎の化け物に襲われる。
 「夜がくる日(YORU GA KURU HI)」は久世みずき(KUZE MIZUKI)による描き下ろし作品。父の転勤の為引っ越しが多く、内気な性格もあってなかなか友達が出来なかったりいね(RIINE)。今度の転校先では一度に多くの友達が出来、転校初日に早速マキ(MAKI)と云う友人を連れて帰るが、その日以来マキは行方不明になってしまう。母と兄の様子がおかしいと感じたりいねは一夜(KAZUYA)に相談し、家族の留守中に兄の部屋を覗くと、そこには…。
 本のタイトルから受ける印象通り、化け物・亡霊・言い伝え・吸血鬼といった、人間社会に紛れて潜む異形の存在や不思議な存在を扱った作品が大半を占める。「絵柄が可愛いから怖くない」という事は決してなく、どの作品も短編にしては凝った内容で楽しませてくれるが、序盤の日常風景のシーンがギャグ漫画っぽいノリに過ぎると、その後の展開と上手く噛み合わず不自然に思えてしまうので、日常のシーンはもっと普通で良いと思う。「鬼ごっこは終わらない」「闇に棲む影」「夜がくる日」は、 序盤のギャグ部分が気になったものの、内容自体はかなり怖いと思えた作品。「ふしぎ岳キノコ一家」「彼女がそこにいる」「禁じられた井戸」は、全体的にノリが一定していて落ち着いた雰囲気。「せみの泣き声」は笑いと恐怖は紙一重という微妙な所を突いている。設定そのものは強引なのだが、その強引な内容を無理無く自然に読ませて泣かせてくれた「禁じられた井戸」と、山奥の別荘で謎の化け物に襲われるという洋物ホラーの様な設定の「闇に棲む影」がお気に入り。


↑こちらは最初に挙げた画像。邪魔をする猫の方が何だか目立ってしまっている。
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猫さま!
 猫さまの写真に惹かれてしまいましたので、お邪魔いたします。

 「ホラーコミック傑作選 第1集 HOLY」のそうそうたる著者の中に、ブラックホールのように日野日出志が並んでいるのが目にとまりました。私は(特に昔の)日野日出志の漫画が好きなので検索してみたのですが、「はつかねずみ」が収録されているようですね。肥大化したはつかねずみが一家を支配するという、後を引く嫌〜な作品でした(褒めてます)。ちょっと崩した絵柄も、気味の悪さだけでなく微妙な毒も醸しています。私も日野日出志の漫画について何か書こうとちょうど思っていたところでした。
おかもろ(再) URL 2011/02/15(Tue)00:25:40 編集
この猫は…
 おかもろ(再)さん、こちらでは初めまして!コメントどうも有難うございます。せっかく「HOLY」について触れて下さったのに、感想が書けていなくて申し訳ありません。「中身が未完成でも、とにかく少しでも早く日記を更新したい」という気持ちが勝ってしまったもので…。
 日野日出志の「はつかねずみ」は結構有名ですね。私も「HOLY」で読む以前に一度読んだ事がありました。元々はひばり書房の単行本「臓六の奇病」に収録されていたらしいのですが、その本自体は読んだ事はない筈なので、何処で読んだのか正確には思い出せません。確実に読んだ覚えのある「原色の孤島」と「まだらの卵」がトラウマとなって、長年同作者の作品を避け続けてしまっていた事もあり、今頃になって集めようと思ってもなかなか見付からず、避け続けていた事が悔やまれます。日野日出志が監修したPSのゲーム「厄痛」も気になっているのですが、今となってはレア物らしく、こちらもなかなか見付かりません…。
 日野日出志の漫画に限った話ではないのですが、他の人のレビューを読んでその作品に興味を持ったり、例え手に入らなくても、レビューを読んだ事でとりあえず満足するという事は多いですよね。おかもろ(再)さんの日野日出志作品に対する感想も楽しみにしていますので、是非近い内に発表して下さい。

 上の画像は猫に邪魔されながらも何枚か撮った物の内、本よりも猫の存在感の方が気に入って選んだ物で、いずれ撮り直すつもりで間に合わせに上げた物だったのですが、せっかくおかもろ(再)さんを招いてくれたのだから、このまま残しておいた方が良いかも知れませんね。因みに名前は「9(Nine)」と云いまして、うちで12匹飼っている猫の内の1匹です。
manken99 2011/02/15(Tue)18:16:11 編集
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