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漫画読書日記

自己満足の為の読書感想文。

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最近購読した漫画112【新刊/ホラー漫画(楳図かずお)】



 楳図かずおの画業55周年を記念し、「少女フレンド」と「少年マガジン」に掲載された過去のホラー作品を、欄外の煽り文や作中に挿入される広告ページ等も含めて、雑誌掲載当時そのままの形で復刻した作品集。過去に何度も復刻された有名作品ばかりではあるが、当時の連載漫画はストーリー漫画と言えど1話毎のページ数が少なく、単行本化の際には加筆修整が加えられて各話毎の区切りが無くなり、全話分を引っ括めて「一話」として収録されている事が多い為、加筆修整が加えられていないオリジナルバージョンでの復刻は非常に珍しい。加筆修整バージョンの方が良く知られている有名作品ばかりだからこそ可能な企画だとも言える。全作品がほぼ発表順に並べられている事もポイントで、発表当時を知る世代も知らない世代も等しく当時の読者の気分に浸る事が出来そうだ。巻頭や作品の合間に掲載された各種資料も興味深い。
 2010年9月から2011年4月まで、毎月1册ずつ全8巻が刊行される。当初書店で見掛けた時は、過去に発行された単行本と何も違いは無いと思いスルーしてしまっていた為、集め始めるのが少し遅れてしまった。既に4巻まで発売されていた去年の12/25・12/28と、5巻が出た直後の1/17に購入。それにしても本のタイトルが長い…。

 「楳図かずお画業55th記念 少女フレンド/少年マガジン オリジナル版作品集1 まだらの少女(UMEZU KAZUO GAGYOU 55th KINEN SHOUJYO Friend/SHOUNEN Magazine Original-BAN SAKUHIN-SHUU1 MADARA NO SHOUJYO)」 楳図かずお(UMEZU KAZUO)・・・・・1965年に発表された9作品を収録。2010年9月10日発行。
 「ねこ目の少女(NEKOME NO SHOUJYO)」は「週刊少女フレンド」1965年No.26(6月29日号)〜No.29(7月20日号)に連載。昔、猫嫌いの殿様に猫そっくりの顔をした娘が産まれ、殿は毒を盛って我が娘を殺してしまった。そして現在。殿の子孫である加賀(KAGA)家には、ヒトミ(HITOMI)と木ノ実(KONOMI)という双子の姉妹が居たが、ある日庭の片隅で彫り掛けの猫の像を拾ったヒトミは猫の様な顔になり、物置で猫の像を彫り続ける。
 「百本めの針(HYAPPONME NO HARI)」は「週刊少女フレンド」1965年No.30(7月27日号)に掲載。目が見えない冬子(FUYUKO)は、友人の比奈子(HINAKO)と〝本当のお友達〟になる為に、毎夜比奈子の目が見えなくなる様にと呪いを込めて、人形に百本の針を突き刺していく。
 「ママがこわい!(Mamma GA KOWAI!)」は「週刊少女フレンド」1965年No.32(8月10日号)〜No.36(9月7日号)に連載。弓子(YUMIKO)の母が入院している病院には、自分をヘビだと思い込んでいる病気の女性が、鉄格子の嵌められた部屋に隔離されて入院していた。ヘビ女は弓子の母と入れ替わり、記憶喪失を装って弓子の家に潜り込み、隙あらば弓子を喰らおうと狙う。最後は捕えられ、他の病院へと移されたヘビ女だったが、物語はこれで終わりではなかった…。
 「呪われたやしきの少女(NOROWARETA YASHIKI NO SHOUJYO)」は「別冊少女フレンド」1965年第2号に掲載。和江(KAZUE)が働きに出た屋敷の女主人は顔を包帯で覆い、屋敷内には決して覗いてはいけないと言われている部屋があった。その部屋は手術室であり、この屋敷の人々はある年齢になると顔が爛れる家系である為、和江の顔の皮を剥いで、娘の阿毛美(AKEMI)に移植しようとしていたのだった。
 「「ママがこわい!」第2部 まだらの少女(「Mamma GA KOWAI!」DAINIBU MZDARA NO SHOUJYO)」は「週刊少女フレンド」1965年No.37(9月14日号)〜No.45(11月9日号)に連載。夏休みに奈良の美土路(MIDORO)村にある親戚の家へと遊びに来た弓子。しかし病院を逃げ出したヘビ女は、自分の生まれ故郷でもあるこの村まで、弓子を追って来ていたのだった。ヘビ女は村人達の手によって生家と共に焼け死ぬが、ヘビ女の血が入った血清を注射された従姉妹の京子(KYOUKO)がヘビ女となり、噛まれた人々も皆言いなりとなって、弓子を襲う。
 「ゆうれいがやってくる(YUUREI GA YATTEKURU)」は「別冊少女フレンド」1965年第3号に掲載。毎夜朝子(ASAKO)が練習するバイオリンを聞きに来る女の幽霊は、身寄りが無く余命幾許も無い入院患者の生き霊であった。明日までの命と言われている彼女は、自分が死ぬ時に朝子も一緒に連れて行こうとするが…。
 「悪魔の手をもつ男(AKUMA NO TE WO MOTSU OTOKO)」は1965年「別冊少年マガジン 秋の特大号」に掲載。体から血がどんどん減っていくという奇病に罹った五郎(GOROU)の兄は、右手がヒルの様に血を吸い取る事が出来る様に変化し、時折理性を失って人々を襲う。
 「のろいの面(NOROI NO MEN)」は「別冊少女フレンド」1965年第4号に掲載。あや子(AYAKO)と雪子(YUKIKO)は面コレクターの老人と知り合い、朝霧面(ASAGIRI-MEN)と夕霧面(YUUGIRI-MEN)という美しい面を貰うが、互いに妬み合っているそれぞれの面を被った2人は、面に操られて争いを始めてしまう。
 「あなたの青い火がきえる!(ANATA NO AOI HI GA KIERU!)」は「週刊少女フレンド」1965年No.46(11月16日号)に掲載。ある日ボールが目に当たってからというもの、人の頭上に青い火が見える様になった今日子(KYOUKO)。火の大きさはその人の生命力を表し、火が消え掛けている人は間も無く死んでしまう。
 恐怖の対象となる相手にも同情すべき事情がある等、単純に忌避すべき相手としてだけではなく、魅力ある「キャラクター」として描かれている点が、同時代の他の怪奇作品と楳図作品との一線を画していた要因だったのではないかと思う。ヤンデレの先駆けと言うべきか、肉体的及び精神的障害がそのまま萌え要素に繋がっているとでも言うべきか、その際たる例は「のろいの館(NOROI NO YAKATA)」のタマミ(TAMAMI)だと思っていたのだが、「ねこ目の少女」の雪姫(YUKIHIME)、「百本めの針」の冬子、ヘビ女等、マイナー作品からメジャー作品に至るまで、殆ど全ての作品に、そうした精神は息づいている。
 しかし当時のままの復刻をコンセプトにしていながら、「看護婦」を「看護師」と改竄したり、「くるっている」とか「きちがい」といった言葉を尽く別の表現に置き換えている所は減点対象。差別意識を以て描かれた訳ではないのだから、規制派からのむやみなクレームとはキチンと戦う気概を見せて貰いたいものだ。

 「楳図かずお画業55th記念 少女フレンド/少年マガジン オリジナル版作品集2 半魚人(UMEZU KAZUO GAGYOU 55th KINEN SHOUJYO Friend/SHOUNEN Magazine Original-BAN SAKUHIN-SHUU2 HANGYOJIN)」 楳図かずお(UMEZU KAZUO)・・・・・1965〜1966年に発表された2作品を収録。2010年10月8日発行。
 表題作の「半魚人」は「週刊少年マガジン」1965年No.48(11月21日号)〜No.53(12月26日号)に連載。日増しに体も心も魚へと変化していく次郎(JIROU)の兄。次郎は健一(KENICHI)の父から、地球上の陸地が海に水没する事を本能的に感じ取った人類が、魚になって生き延びようとしているという「半魚人説」を教わるが、その最中に健一の父は家に逃げ込んで来た次郎の兄に襲われてしまう。健一の父に成り済ました次郎の兄は、健一の為と称して、荒っぽい手術を施し、健一の体を無理矢理魚の様な姿へと作り変えていく…。
 「紅グモ(BENIGUMO)」は「週刊少女フレンド」1965年No.47(11月23日号)〜1966年No.10(3月8日号)に連載。クモ学者の父を持つたか子(TAKAKO)と美也子(MIYAKO)姉妹の許へ、新しい母がやって来た。暫くは楽しい毎日が続いていたが、実は母はこの家の財産を自分の物にする為、毒グモを使って2人を殺そうと企んでいたのだった。母が放った紅グモに寄生されて死んでしまったたか子は、墓場で老婆の姿となって生き返り、ばあやとして自宅へ舞い戻って、母への復讐を果たす。しかしたか子の体内で繁殖し、たか子の体を食い尽くしてしまった紅グモは、今度は美也子の友人・れい子(REIKO)の体に乗り移って、更なる恐怖を巻き起こす。
 最初に恐怖の対象となる黒幕的立場の人物が先に退場して、次の対象へとバトンタッチするという展開に共通点があるが、本来なら事態を収拾出来る立場にある筈の健一の父が先に呆気無く倒れ、頼れる者が居なくなってしまうという「半魚人」の展開は後の「ひびわれ人間(HIBIWARE-NINGEN)」に通じる物があり、母が死んだ後はたか子が、たか子が死んだ後はれい子が跡を引き継ぐという「紅グモ」の恐怖の連鎖的展開は「まだらの少女」に通じる物がある。読み比べてみると、アクション的要素が強くアクティブな印象の主人公が多い「少年向けホラー漫画」と、どちらかと言うと受け身な印象が強い「少女向けホラー漫画」との違いが明白であり、興味深い。

 「楳図かずお画業55th記念 少女フレンド/少年マガジン オリジナル版作品集3 へび少女(UMEZU KAZUO GAGYOU 55th KINEN SHOUJYO Friend/SHOUNEN Magazine Original-BAN SAKUHIN-SHUU3 HEBI-SHOUJYO)」 楳図かずお(UMEZU KAZUO)・・・・・1966年に発表された3作品を収録。2010年11月12日発行。
 「ひびわれ人間(HIBIWARE-NINGEN)」は「週刊少年マガジン」1966年No.6(2月13日号)〜No.12(3月27日号)に連載。死人を生き返らせる研究をしている灰田(HAIDA)博士は、交通事故で死んだ少年・森影良彦(MORIKAGE YOSHIHIKO)の脳を死人に移植し、実験は成功するが、蘇ったひびわれ人間は、車のヘッドライトに対する恐怖心の記憶から、強い光を見ると錯乱して暴れ出すという欠点を持っていた。暴れ出したひびわれ人間は灰田博士を殺し、自宅へと戻って父をもその手に掛ける。一方、森影家の財産を横取りしようと企む親類達は、母を拷問に掛けるが、逃げ出した母はひびわれ人間が自分の息子・良彦である事を知り、彼を使って皆への復讐を企てる。
 「4年めがこわい(YONENME GA KOWAI)」は「別冊少女フレンド」1966年4月号〜5月号に連載。貧しい家庭に産まれ、体も弱かった夏川みどり(NATSUKAWA MIDORI)には、4歳・8歳・12歳と、4年目毎に体が丈夫になったり、大金を拾ったり、父の事業が成功するといった様々な幸運に恵まれるというジンクスがあった。ところが16歳の時に父の会社がある土地へ引っ越した途端、何故か様々な不幸に見舞われる様になってしまう。
 「山びこ姉妹 第一話 へび少女(YAMABIKO SHIMAI DAIICHIWA HEBI-SHOUJYO)」は「週刊少女フレンド」1966年No.11(3月15日号)〜No.25(6月21日号)に連載。明治四十年、しのばずの沼に棲むうわばみの片目を撃ち抜いた中村利平(NAKAMURA RIHEI)は、へびの呪いによって怪死。そして現在、利平の孫に当たる洋子(YOUKO)は、へびの様な姿の怪しい女にばあやを殺され、村外れの屋敷へと養女に貰われて行った。屋敷の人々は皆様子がおかしく、普段は優しい母も、時折へびの様な姿となって洋子を襲う。うわばみの化身であった母は、利平への復讐の為、洋子をへび少女へと変え、その現場を目撃したサツキ(SATSUKI)をも襲う。へび少女になり掛けている時の洋子の目付きが、かなり色っぽい。
 「ひびわれ人間」は「恐怖人間(KYOUFU-NINGEN)」の進化発展形、「へび少女」は「まだらの少女」の進化発展形といった印象で、最初から最後まで恐怖の対象が途中退場する事なく登場し続けるという共通点があるが、「ひびわれ人間」の方は復讐の道具に使われるという意外な展開に、「へび少女」の方はうわばみの化身、その母、へび少女となった洋子といった恐怖の対象が全員最後まで生存し続けており、「恐怖の連鎖」ならぬ「増殖する恐怖」といった展開に、非常にワクワクさせられる物がある。「4年めがこわい」は長期連載の合間の軽い読み物といった印象で、1964年に起こった新潟地震をストーリーの最後に持って来る事でリアリティのある恐怖を演出していたのではないかと思うのだが、「あの大地震」とだけ表記され、実際の地震名はぼかされている。

 「楳図かずお画業55th記念 少女フレンド/少年マガジン オリジナル版作品集4 黒いねこ面(UMEZU KAZUO GAGYOU 55th KINEN SHOUJYO Friend/SHOUNEN Magazine Original-BAN SAKUHIN-SHUU4 KUROI NEKO-MEN)」 楳図かずお(UMEZU KAZUO)・・・・・1966年に発表された4作品を収録。2010年12月10日発行。
 「肉面(NIKUMEN)」は「週刊少年マガジン」1966年No.14(4月10日特大号)に掲載。面の収集に執心する烏山(KARASUYAMA)城主・烏山主水之介(KARASUYAMA MONDONOSUKE)は、面作りを断られた腹いせに面師・夜叉面(YASHAMEN)を斬り殺す。弟子の重太郎(JYUUTAROU)は師匠の復讐を果たすべく、自らの顔の皮を剥ぎ取って面を作り、主水之介に献上する。
 「赤い服の少女(AKAI FUKU NO SHOUJYO)」は「別冊少女フレンド」1966年6月号に掲載。スターに憧れ、今日もレッスンに励む少女達。春山そよぐ(HARUYAMA SOYOGU)と香川美保(KAGAWA MIHO)の2人は特に成績優秀なライバル同士だったが、ある日の帰り道で見掛けた赤い服を、一足違いで手に入れられたか否かで、その後の2人の運命は大きく変わってしまう。
 「人魚ものがたり(NINGYO MONOGATARI)」は「週刊少女フレンド」1966年No.26(6月28日号)〜No.29(7月19日号)に連載。ある嵐の夜、海彦(UMIHIKO)の家にやって来た名も無い少女。海彦は彼女にサチコ(SACHIKO)という名前を付け、家に置いてあげる事にするが、サチコの事を人魚だと言う女性が現れ、サチコを南の国へ連れ帰ろうとする。切ない恋の物語。
 表題作の「黒いねこ面」は「週刊少女フレンド」1966年No.30(7月26日号)〜No.45(11月8日号)に連載。その昔城主・柴田勝之進(SHIBATA KATSUNOSHIN)は、毒を盛ったという濡れ衣で主治医の竹庵(CHIKUAN)を斬り殺し、彼の妻と娘を牢に閉じ込めた上、化け猫と化して復讐の機会を窺っていた飼い猫のクロ(KURO)をも退治してしまう。そして現在。柴田家の子孫に猫そっくりの赤ん坊が産まれ、父の柴田医師は大森(OOMORI)家の赤ん坊と自分の子供を取り替える。成長し、大森夫妻に連れられて柴田医師の元へと現れた猫顔の少女は、整形手術を強要。クロの生まれ変わりである猫少女の、柴田家に対する恐ろしい復讐が幕を開ける。壁に塗り込められた白骨死体が大挙して押し寄せて来るクライマックスシーンが異常に怖い。
 「呪われたやしきの少女」に続き、麻酔無しで顔の皮を剥ぐという痛い描写が2作品。剥がれた顔の皮が襲って来るという描写も共通しているが、真に恐ろしいのは、その復讐への執念であろう。「赤い服の少女」のラストは「4年めがこわい」に似ているが、全ページの大部分をレッスンの日々に割く事で、一歩違いで失わずに済んだ生を、これからも精一杯生き抜こうという前向きな姿勢がより強く表現されている様に思う。「人魚ものがたり」は毛色の違った作品で、他のホラー作品と比べると地味な印象を受けるが、発表から44年経った現在となっては、もはや立派な「昔話」であり、現在ではお爺さんとなっているであろう海彦の口から過去の思い出話を聞かされている様な、情緒的な感慨深さを感じさせる。

 「楳図かずお画業55th記念 少女フレンド/少年マガジン オリジナル版作品集5 悪夢(UMEZU KAZUO GAGYOU 55th KINEN SHOUJYO Friend/SHOUNEN Magazine Original-BAN SAKUHIN-SHUU5 AKUMU)」 楳図かずお(UMEZU KAZUO)・・・・・1966〜1967年に発表された4作品を収録。2011年1月12日発行。
 「楳図かずお先生の怪談(UMEZU KAZUO SENSEI NO KAIDAN)」は「週刊少女フレンド」1966年No.48(11月29日号)〜No.52(12月27日号)に連載。吹雪に閉ざされた山小屋で、5人の男女が眠って凍死してしまう事を防ぐ為に、自身が経験した怪談を次々と語って朝まで過ごすという趣向のオムニバスホラー。「悪夢(AKUMU)」「鬼ばば(ONIBABA)」「とりつかれた男(TORITSUKARETA OTOKO)」「人食い雪(HITOKUI YUKI)」の全四話。
 「ミイラ先生(Mirra SENSEI)」は「週刊少女フレンド」1967年No.2・3(1月10・17日合併号)〜No.14(4月4日号)に連載。聖白バラ(SEI SHIROBARA)女学院の地下室には、敷地内から掘り出された修道女のミイラが安置してあった。ある夜見回りをしていた葉山(HAYAMA)先生は、雨垂れの水分を得て蘇ったミイラに襲われ、葉山先生と入れ替わったミイラは、美しかった生前の姿を取り戻すべく、血を吸う為に学院内の美少女達を襲う。学校や自宅といった身近な日常空間から、クライマックスシーンでは雪山、工事現場へと場面を移し、より気分を盛り上げてくれる。合間に突然ナンセンス4コマが挿入されるのも、雑誌掲載時のままの復刻版ならでは。
 「木の肌花よめ(KI NO HADA HANAYOME)」は「別冊少女フレンド」1967年2月号に掲載。黒部(KUROBE)家の美しい娘・あや姫(AYAHIME)には多くの求婚者達が居たが、ある時突然腕が木の幹の様になった姫を気味悪がった求婚者達は、薄情にも皆姫から離れて行ってしまった。唯1人決心を変えなかった侍・水上(MINAKKAMI)が姫を迎えに来たその日、姫は全身が木の様に変化し、態度まで豹変して水上を襲う。
 「人こぶ少女(HITOKOBU SHOUJYO)」は「週刊少女フレンド」1967年No.15(4月11日号)〜No.17(4月25日号)に連載。家庭の事情で従姉妹のアグリ(AGURI)の家に世話になる事になった優子(YUUKO)。アグリの頬には醜いこぶがあり、美しい優子の顔を妬んで、こぶを移そうとする。
 「悪夢」は「楳図かずお先生の怪談」の中の一エピソードに過ぎないので、単行本のタイトルは一番長い「ミイラ先生」か、最もインパクトのある「人こぶ少女」にした方が良かったのではないかと思う。 長編力作は「ミイラ先生」だが、やはり何と言っても最も強烈なインパクトを残すのは「人こぶ少女」だろう。後に「人こぶの怪(HITOKOBU NO KAI)」に改題して単行本「怪(KAI)」に収められた加筆修整バージョンでは、ラストの人面疽の場面がより強力にクローズアップされ、表紙の不気味さとも相まって、かなり高いトラウマ戦闘力を誇る。これに対抗し得るトラウマシーンは、「凄ノ王(SUSANOOU)」のレイプシーンぐらいのものであろう。アグリは優子に対しては性格の悪さを存分に発揮しているものの、学校ではおとなしくてクラスメート達からも嫌われており、不幸・性格悪い・吊り目の美少女という三要素が私的に非常にツボで、実は楳図キャラの中では「おろち(OROCHI)」と並んで最も好きなキャラ。強引とは言え一応のハッピーエンドが救われる。
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