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漫画読書日記

自己満足の為の読書感想文。

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最近購読した漫画138【古本/ホラー漫画(ひばり・立風)】



 昨日に引き続き、4/15に偶然見付けた古本屋で、運命の如き出会いを果たした本。今回はひばり書房と立風書房のホラーコミックです。出来れば「ひばり書房」と「立風書房」の本はそれぞれ別枠で紹介したい所なのですが、殆ど偶然の出会いを待たねばならないに等しく、狙って買える様な代物ではない為、・最近購読した漫画132【古本/ホラー漫画(ひばり・立風)】・の時は立風書房4册・ひばり書房1册、今回はひばり書房5册・立風書房1册といった具合に、双方バランス良く一定冊数ずつ入手する事が出来ないのが悩み所。何時かは特定作家のみに絞った紹介などもしてみたい所です。
 狙って揃えた訳ではないにも関わらず、今回は花嫁ネタが目立つ所も何だか印象的。主な読者層は小・中学生ぐらいだと思うのですが、そういった事を意識せず、とにかく思い付くままに恐怖ネタを考え発表し続けていた所が、B級っぽさの現れだと言えるかも知れません。

 「恐怖の青とかげ(KYOUFU NO AO-TOKAGE)」 杉戸光史(SUGITO KOUJI)
 1974年2月25日発行の描き下ろし単行本「怪談青とかげ(KAIDAN AO-TOKAGE)」を改題し、表紙の絵と背表紙のナンバーを変えて初版として再発行した物。1980年12月1日初版発行、背表紙のナンバーは138。

 「死美女がまねく夜(SHI-BIJYO GA MANEKU YORU)」 森由岐子(MORI YUKIKO)
 1973年1月31日発行の描き下ろし単行本。今回私が購入した物は1988年4月16日発行の、背表紙のナンバーが24になっているバージョンで、初期の物とは異なり、表紙の黒枠が緑に、カバー折り返しの作者紹介がゲームデンタクの当選者発表に変わっているが、初版表記は無い。
 軽井沢に住む繭子(MAYUKO)は、歌手・南條光(NANJYOU HIKARU)の大ファン。光が軽井沢の別荘にやって来る夏を楽しみにしていたが、その光と恋人の立花さゆり(TACHIBANA SAYURI)が乗った車に撥ねられた繭子は、大怪我をして入院。事故に責任を感じた光は毎日繭子の見舞いに来ていたが、仕事に穴を空ける訳にはいかず東京に帰る事を繭子に告げに来た丁度その時、繭子は顔に巻かれた包帯を解いており、右半分が崩れたその恐ろしい顔を見た光は逃げ出し、それきり見舞いには来なかった。醜い顔となり光にも会えなくなってしまった繭子は、それを苦に自殺。ある雨の夜、道で出会った美しい少女を車に乗せた光は、まゆこ(MAYUKO)と名乗るその少女に惹かれ、毎晩逢瀬を重ねるが、マンションの管理人が光の部屋を覗き見た時、光が抱き合っていたのは、顔半分が骸骨となった恐ろしい姿の幽霊であった。
 不憫な境遇に同情の余地はあり、生前の姿で光の前に現れる繭子は非常に愛らしく、男の保護欲をくすぐるが、一方で自分の正体を知った相手には一切容赦せず、無表情な半分骸骨の姿で管理人を殺害したり、「お前の顔をつぶしてやる」とさゆりを襲う繭子は、余りに恐ろし過ぎる。かなり極端なヤンデレだ。ラストは何処か寂し気な余韻の残る、本人達にとっては一応ハッピーエンド。こんな状況であんな態度を取られたら、男だったら100%光と同じ行動を取るしか無いだろう。狡い女だ。
 描かれたのが1973年と古い作品なので、1988年に読んだ読者には、電話が黒電話だったり、ステレオを掛けてゴーゴーを踊るといった時代錯誤な描写には、かなり違和感を感じたのではないかと思う。締め切りまで余り時間が無かったと見え、かなり絵が荒れているのも気になる所。

 「人形館の花嫁(NINGYOU-KAN NO HANAYOME)」 森由岐子(MORI YUKIKO)
 1982年10月16日初版発行の描き下ろし単行本。背表紙のナンバーは100。
 妻が病死したと言う彫刻家の田梨淳一郎(TANASHI JYUNICHIROU)と結婚した鈴子(SUZUKO)。淳一郎が娘のつぐみ(TSUGUMI)と共に住んでいる大きな屋敷には、死んだ妻の部屋と仕事部屋の2部屋、決して入ってはいけないと言われている部屋があった。仕事部屋に閉じ籠る際に2人分の食事を要求し、レモンスライスを欠かさぬ様言い付けるにも関わらず、鈴子の前では何故かレモンを食べようとしない淳一郎と、鈴子の事をママと呼ばず、死んだ筈のママがまだ生きているかの様な発言を繰り返すつぐみ。淳一郎の前妻・美智子(MICHIKO)の生死を疑い始めた鈴子は、仕事部屋に美智子の蝋人形が置かれているのを見せられた事で一時は安心するも、再び覗いた時には人形が消えており、次に覗いた時には元の位置に戻っているといった不可思議な現象が続き、遂には面を被った謎の人物に命まで狙われる羽目になってしまう。果たして全ての真相は…?
 無表情な人形の神出鬼没振りがとにかく恐ろしく、入ってはいけないと言われている部屋の存在や、夫と娘の不可解な言動等、全ての要素が恐怖感を煽り立てる。黴菌に冒され顔の崩れた美智子が鈴子を襲う終盤のシーンにも、何をしでかすか解らない狂人の様な恐ろしさを感じるが、恐ろしい悪役として描かれる美智子も娘に対しては優しい母であり、自分が入っていないにも関わらず何故か歩いて来る蝋人形の姿に怯えたり、最期は覚悟の焼身自殺を遂げるといった、悪役側にも感情移入させる人格描写の綿密さは、楳図かずお(UMEZU KAZUO)の「赤んぼ少女(AKANBO-SHOUJYO)」のタマミ(TAMAMI)にも通じる物がある様に思う。ラストは絵に描いた様なハッピーエンドで、郵便配達員のおじさんまでニコニコしている所が非常に微笑ましい。

 「ばけもの屋敷(BAKEMONO YASHIKI)」 古賀新一(KOGA SHINICHI)
 過去に発表された2本のホラー作品を収録した中・短編集。1983年1月6日初版発行、背表紙のナンバーは139。「オカルト・シリーズ」という特別枠が設けられた同作者の単行本は、一時期毎月発行されていたらしく、ホラー漫画の発表作品数の多さが伺える。
 表題作の「ばけもの屋敷」は掲載誌及び発表時期不明。作中に「昭和二十年生」の兄が実の母親と「二十五年もあっていない」という記述がある事から、昭和45年に発表された物と推測される。永悟(EIGO)の兄・達也(TATSUYA)は、事故で亡くした婚約者の美佐(MISA)とそっくりな魔子(MAKO)と知り合い、彼女に惹かれていくが、美しい物には興味が無く醜い男性に魅力を感じると言う魔子の望み通りに、劇薬を使って自分の顔を醜く焼き潰してしまう。魔子の正体を知った達也は彼女の家に監禁されるが、そこは実は達也の生まれた実家でもあった。
 「死人屋敷(SHININ YASHIKI)」は掲載誌及び発表時期不明。火葬場を営む老夫婦の許へ養女としてやって来た可奈(KANA)。子供の居ない老夫婦は、屋根裏で引取人の居ない死体を家族の様に扱い可愛がっていたが、可奈という娘が出来た事から、死体を全て焼いてしまう事を決意する。しかし突如として起き上がった死体は、自分達が焼かれない為に可奈を追い出そうとし、それが叶わぬとなると、今度は可奈を棺桶に入れ、竈で焼き殺そうとするのだった。
 どちらも「屋敷」がキーワードとなっているが、「ばけもの屋敷」の方は、達也の幼少時の謎さえ解けてしまえば、後半の屋敷内でのエピソードは余り重要ではなく、むしろ達也が自分の顔を潰していく前半部分の方が、よりインパクトが強くて恐ろしい。「死人屋敷」はとにかく死人達の顔が皆気味悪く、動いて喋っていない時の方が却って不気味に思えてしまう程。自分達が焼き棄てようとした死人達に逆に焼き殺されてしまう老夫婦の末路は、余りにも皮肉過ぎて恐ろしい。可奈は生き残ったものの、死人達の行方は解らず、この後どうなるのか続きを考えてみるのも面白そうだ。

 「花嫁に恐怖の花を(HANAYOME NI KYOUFU NO HANA WO)」 なかのゆみ(NAKANO YUMI)
 1986年10月6日初版発行の描き下ろし単行本。背表紙のナンバーは138。

 「ロマンミステリ 呪いの花嫁(Roman Mystery NOROI NO HANAYOME)」 岡崎優(OKAZAKI YUU)
 1980年8月15日発行の描き下ろし単行本。今回私が購入した物は1983年12月15日発行の第8刷。


↑これは「死美女がまねく夜」に挟み込まれていた、ゲームデンタク応募用のアンケートはがき。これも貴重な品だと思います。「怪談絵はがきシリーズ・」と書かれている為、最低でも6種類のデザインの物がある筈なのですが、今までネット上で見た事がある画像はこれと同じ物ばかりで、他のデザインの物は今まで一度も見た事がありません。他にどの様なデザインの物があるのか、とても気になります。
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