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漫画読書日記

自己満足の為の読書感想文。

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最近購読した漫画133【古本/ホラー漫画(角川ホラー文庫)】



 「角川ホラー文庫」と言えば、十数年前頃に「弟切草(OTOGIRISOU)」「踊る少女(ODORU SHOUJYO)」「クリムゾンの迷宮(Crimson NO MEIKYUU)」といったホラー小説をよく買って読んでいました。その頃からホラー漫画も色々刊行されている事は知っていたのですが、当時は何故か食指が伸びず、手に入りにくい今頃になってから探し回るといった馬鹿な事をしています。しかし以前購入したささやななえこ(SASAYA NANAEKO)の「生霊(IKISUDAMA)」や友人から貰った「ホラーコミック傑作選 第1集 HOLY(Horror Comic KESSAKU-SEN DAI1SHUU HOLY)」は、初めて手に入れた筈であるにも関わらず内容を殆ど知っていた為、覚えていなかっただけで、発行当時何らかの形で読んだ事があったのかも知れません。今回購入した物は、全て初めて読む物ばかりです。「ホラーコミック傑作選」の第4集だけが巻末にも広告が載っておらず、何なのか解らないので気になります。今回の本は3/28・4/6・4/12に購入。

 「ホラーコミック傑作選 第2集 闇の画廊(Horror Comic KESSAKU-SEN DAI2SHUU YAMI NO GAROU)」 菊池秀行(KIKUCHI HIDEYUKI)=選 関谷ひさし(SEKIYA HISASHI)&武内つなよし(TAKEUCHI TSUNAYOSHI)&小島剛夕(KOJIMA GOUSEKI)&さいとう・たかを(SAITOU・TAKAWO)&川崎のぼる(KAWASAKI NOBORU)&望月三起也(MOCHIDUKI MIKIYA)&桑田次郎(KUWATA JIROU)&池上遼一(IKEGAMI RYOUICHI)
 1957年〜1972年に発表された、8人の作家によるホラー作品を集めた短編集。1996年4月10日発行。
 「恐怖の原子人間ムーズ(KYOUFU NO GENSHI-NINGEN Meuse)」は「まんが王」1957年?月号に掲載された関谷ひさしの作品。溶けたアスファルトを避けようとして起こった交通事故。死亡したのは億万長者の金木成造(KANEKI NARIZOU)氏であった。ただの事故ではなく計画的な犯罪として捜査が開始され、犯人かと疑われた東(AZUMA)博士は自殺するが、その後も黒焦げとなった犬や人間の死体が相次いで発見される。果たして事件の真相は?
 「少年Gメン あるく植物(SHOUNEN G-men ARUKU SHOKUBUTSU)」は「少年」1959年夏休み増刊「探偵ブック」に掲載された武内つなよしの作品。みどり湖(MIDORI-KO)へキャンプにやって来た一行。水を汲みに行った三郎(SABUROU)が突如現れた歩く植物に襲われ、少年Gメン・花丘一郎(HANAOKA ICHIROU)は捜査を開始する。
 「浅き夢見じ(ASAKI YUME MIJI)」は1965年「怪談」第75集に掲載された小島剛夕の作品。江戸時代、大阪の木綿問屋・浪華屋(NANIWA-YA)にやって来た浮世絵の巨匠・香川国麿(KAGAWA KUNIMARO)は、浪華屋の娘・冬(FUYU)をモデルに悲恋の恋人同士を描いた悲恋図を完成させようとするが、恋を知らない冬では、心が籠らぬ死んだ絵しか描けない。既に完成している男姿の絵を見た冬が、絵の男に本気で惚れた事で、心が入った悲恋図は遂に完成するが…。
 「人犬(HITO-INU)」は「別冊少年マガジン」1966年?月号に掲載されたさいとう・たかをの作品。兄が自殺した為、一族最後の1人となってしまった友人・乾(INUI)を訪ねて、彼の故郷である犬居(INUI)村へとやって来た倉田(KURATA)。村には何故か野良犬がやたらに多く、犬好きな乾家のばあやは、幾ら注意されても、屋敷の中にまで犬を入れる事をやめようとしない。そして乾の体にある変化が起き始める。
 「死人が呼んでる(SHIBITO GA YONDERU)」は「週刊少女フレンド」1966年46号〜47号に連載された川崎のぼるの作品。ある嵐の夜、村外れの御堂に住む怪しい頭巾の女と老婆が、松本(MATSUMOTO)家の一人娘・美代子(MIYOKO)を襲う相談をしていた。雨の日の帰り道、見知らぬ綺麗なお姉さんの傘に入れて貰った美代子はそのまま行方不明となり、村人達は御堂に住む2人を疑うが…。
 「吸血鬼(KYUUKETSUKI)」は「増刊少年キング」1967年8月号に掲載された望月三起也の作品。ベトナム戦争の最中、前線にある野戦病院では、体中の血が一滴残らず無くなり死亡する兵士が跡を断たなかった。ベトナムの救世主と讃えられる日本人医師・野火(NOBI)博士と全く同じ顔をした人物が日露戦争時の写真にも写っている事を知った新聞記者・芝(SHIBA)は、野火の正体を確かめるべく、ベトナムへと向かう。
 「トゲ人間(TOGE-NINGEN)」は「ぼくら」1968年11月号に掲載された桑田次郎の作品。宇宙館の見学に行った一郎(ICHIROU)とポン太(PONTA)は、その帰りに、体中穴だらけで血が一滴も残っていないという奇妙な惨殺死体を発見する。過酷な宇宙探検から唯1人生還した英雄・西条ケン(SAIJYOU KEN)は、彼等のクラスメート・かずみ(KAZUMI)の兄であり、宇宙で何か不思議な病気に罹ってしまったらしく、眠ると決まって悪夢を見るのだと言う。
 「安達ケ原の鬼女(ADACHIGAHARA NO ONI-ONNA)」は「週刊少年マガジン」1972年16号に掲載された池上遼一の作品。戦国時代、戦乱の中敵から逃げ惑う3人の雑兵・熊吉(KUMAKICHI)・海太郎(KAITAROU)・平助(HEISUKE)は、彼等を誘う様に現れた美しい女を追って、庭に果実がたわわに実る、極楽の様に美しい見事な城へと辿り着く。女ばかりのこの城では、城主や家来は皆戦に出たまま帰らず、3人の中で最も力優れた者を城主に迎えると姫は言うが…。
 選者の菊池秀行が子供の頃に読んで衝撃を受けた作品ばかりを取り揃えたらしく、有名作家の意外な作品が集められている点は非常に興味深い。どれも大昔の作品なので、王道的で在り来たりな展開ばかりなのではないかと思いきや、現在の作家が気を配らない様な細かい部分にまで気を配っていたり、逆に変に気を回し過ぎかねない部分は敢えてスッパリ切り捨てていたりと、作品の完成度を重視し恐怖のツボを押さえている点には、流石巨匠の作だと唸らされる。例えば「少年Gメン あるく植物」の三郎の死などは余りにも呆気無く、これ見よがしに残虐シーンを描かなかった分、事件の悲劇性が増していたし、「トゲ人間」では西条ケンを単なる「犯人」としては描かず、体内の吸血植物こそが真の犯人であり、英雄らしく自らを犠牲にして宇宙に散ったという尊厳ある死が与えられていた。「安達ケ原の鬼女」では、3人が姫を故郷に残して来た恋人とだぶらせるシーンがあるのだが、これは恐らく鬼女の幻術でそう思わされていただけなのだろう。現在の漫画ならば余計な説明が入る所だろうが、説明が無くともキチンと読者が自分で判断出来る様に描かれている。そして全ての作品に於いて人間はただの人間でしかなく、事件が解決し最後まで生存する主人公と言えど、怪異に対しては余りにも無力(少年Gメンの花丘一郎のみ少年離れした活躍を見せるが、歩く植物を倒す事は流石に出来なかった)。自分が出来る範囲内の行動しか取れないという、等身大の人間が描かれているからこそ、恐ろしさや悲しさがリアルに深く心に染み通るのだ。「ホラーコミック傑作選 第1集 HOLY」に比べると見掛ける事が少なく入手は難しいと思われるが、掲載作品のレア度も含めてかなりお薦めの1册。

 「ホラーコミック傑作選 第3集 HOLY Ⅱ(Horror Comic KESSAKU-SEN DAI3SHUU HOLY Ⅱ)」 犬木加奈子(INUKI KANAKO)&御茶漬海苔(OCHADUKENORI)&風忍(KAZE SHINOBU)&谷間夢路(TANIMA YUMEJI)&日野日出志(HINO HIDESHI)
 1978年〜1993年に発表された、5人の作家によるホラー作品を集めた短編集。1996年8月10日発行。
 「恐怖夜話 トビオ(KYOUFU YAWA TOBIO)」は「ホラーハウス」1992年8月号に掲載された犬木加奈子の作品。魚の様な顔をしたトビオは、魚が好きで何時も学校の裏庭にある池の魚に餌をやり、自らも魚になりたいと願っていた。トビオが何時も大事そうに抱えている木箱の中身に興味を持ったマスミは、トビオに付き纏い、「人魚を飼っている」という事実をトビオから聞かされる。
 「蜥蜴(TOKAGE)」は「ホラーハウス」1991年7月号に掲載された犬木加奈子の作品。ルイ子達からの虐めに遭い、蜥蜴の尻尾を食べさせられたチナミ。ある時ルイ子達から逃げたいと強く願ったチナミは、蜥蜴の様に自分の体の一部を切って逃げる術を身に付け、容姿も蜥蜴の様に変貌してしまう。
 「私の花(WATASHI NO HANA)」は「ある愛の恐怖」1993年VOL.4に掲載された御茶漬海苔の作品。花を育てる事が好きな創子は、学校では虐めに遭い、家では不登校を両親から厳しく責められ、自分も植物になりたいと強く願って、毎日花の種を飲み込んでいた。ある時腹に咲いた花から、自分と同じ顔に根の様な物が生えた子供が産まれ、その〝バケモノ〟を殺そうとする両親から、子供を守ろうとした創子は…。
 「死霊の涙(SHIRYOU NO NAMIDA)」は「ソリティア」1987年11月号に掲載された風忍の作品。悪霊に取り憑かれ体が弱っていくミチコを霊視した秘美子は、戦時中に死んだ死霊の念が形となってミチコの口から吐き出される異様な光景と、ミチコが悪霊に見せられている地獄絵図を目の当たりにし、寂しく悲しい霊の気持ちを理解して浄化させるが…。
 「神秘鏡(SHINPIKYOU)」は「ソリティア」1987年3月号に掲載された風忍の作品。自分の体に霊を降ろした際に、姿までもが相手と同じに変化するという、強い霊能力を持った鏡子。ある時彼女は鏡に映る自分の姿にその能力を発揮し、かつて自分から去って行ったBFの橋本の姿を映し出す。その鏡を家族に見付からぬ様に隠し、時折眺めて大事にしていた鏡子だが、鏡の中の橋本は時間と共に変化し、険しい顔付きとなって鏡子の許へと迫り来る。
 「殺人鬼には死を(SATSUJINKI NIHA SHI WO)」は「ソリティア」1987年5月号に掲載された風忍の作品。妹のミチコを殺された洋子は、ミチコの服を着、催眠療法により心も体もミチコになり切る事で、彼女の記憶を辿り、遂に犯人を突き止め妹の復讐を果たす。
 「エンゼルの瞳(Angel NO HITOMI)」は「ソリティア」1987年2月号に掲載された風忍の作品。虐められて自殺した宮本の名を語る邪霊が、苛めのリーダーである大石に取り憑き、校内を混乱に陥れていた。そこへ現れたヒロインはサングラスを取り瞳の持つ力を発揮。一旦はやられたと見せ掛けて邪霊が大石の体を離れた所を、自分の精神世界へと連れ込み、天使の姿となって霊を浄化させる。
 「かわいい赤ちゃん(KAWAII AKA-CHAN)」は「パンドラ」1988年7月号に掲載された谷間夢路の作品。妊娠していた久美子が僅か三ヶ月で醜い顔の赤ん坊を産み落とした挙句、自分の子供に喰い殺されてしまう。死ぬ間際の久美子の願いを聞き入れ、こっそり赤ん坊を育てる事にした優と慶子。そんな彼女達を、何時も木陰から見詰める怪しい男は一体…?
 「醜面(SHIKOMEN)」は「パンドラ」1988年8月号に掲載された谷間夢路の作品。面作りが趣味の近藤先生の家に遊びに行った由理・良子・真美子の3人。いたずらで作り掛けの面を付けた良子は、顔に何本ものトゲが刺さり、そこから徐々に顔が醜くなっていってしまう。実は面の材料となった木は、自殺の名所とされる湖周辺の物であり、湖で死んだ女性達の怨念が取り憑いていたのであった。
 「愛しのモンスター(ITOSHI NO Monster)」は「ペケ」1978年9月号に掲載された日野日出志の作品。海から流れ着いた深海魚の腐肉を原料に、人造人間を生み出した腐乱犬酒多飲博士。しかし博士は研究の疲れから病に倒れ、自分の存在意義を見い出せぬまま、醜い不死身のモンスターは町で暴れ狂う。
 「愛しのモンスター②(ITOSHI NO Monster②)」は「ペケ」1978年10月号に掲載された日野日出志の作品。某国の原子力潜水艦の事故により、巨大化して蘇ったモンスター。自衛隊の攻撃を物ともせず、東京に上陸したモンスターは、巨大怪獣らしく破壊の限りを尽くし、最期はキングコングに倣って美女を手に華々しく散ろうと考えるが…。
 「さらば愛しのモンスター(SARABA ITOSHI NO Monster)」は「ペケ」1978年11月号に掲載された日野日出志の作品。モンスターが残した髪の毛の毛根から、新たなモンスターが誕生。海で子供を亡くして気がふれた女性に拾われて育てられ、他の子供達とも仲良くなり、力仕事で漁師達の役にも立っていたのだが…。
 これまでの収録パターンとは異なって、1人の作家につき複数の作品が収録されており、作品の本数や選考基準も、各作家の方向性を一面からではなく多面的に見詰める事を目的としている様な印象がある。全体的に異形の存在やコミカルな内容の物、美女や美少女が登場する学園物が目立っている様だが、虐め等扱われる題材の全ては発表された時代を反映しており、ホラー漫画に描かれた恐怖は、時代性とも無関係ではないという事が読み取れる。
 「恐怖夜話 トビオ」「蜥蜴」の2作品は、犬木加奈子作品の中では、慣れない人でも比較的受け入れ易く思える内容で、人魚(?)のヤスケに指を喰い千切られながらも、好奇心の強さの方が勝って、逆にヤスケに喰い付いたりするマスミは、かなり好ましいキャラであるし、グロテスクな描写の多い「蜥蜴」も、虐められっ子のチナミにとっては、ある意味救いのある結末だと言えるだろう。同様に、いびつな形での救いあるエンディングを迎える「私の花」は、唯一の御茶漬海苔作品だが、血飛沫・異形・美少女・淡々とした「出来事」の描写といった同作者の作品に於ける特徴が、全てこれ1作に凝縮されている。風忍の4作品には全て特殊能力を持つ美少女が登場し、純和風の怪談の筈なのに何処かサイバーな印象を受ける内容は、やはり発表された時代を反映している様に思う。エロティックな描写は一切無いにも関わらず、女性は皆かなりセクシーだ。ドッキリ系の展開が多い谷間夢路作品には、余り納得がいく理由付けがされていない事が多いのだが、「かわいい赤ちゃん」は意外性のある落ちにも整合性があり、完成度は高い。「愛しのモンスター」3部作は全体的にギャグ色の強い内容だが、何気無く挿入された残虐シーンや、物悲しいラストシーンにはモンスターに対する優しさも感じられ、「ホラー」というカテゴリーで括るよりも、様々な要素を含んだ総合的な娯楽作品と言った方が良いかも知れない。気がふれたおさよさんは、ざんばら髪で顔を覆い衣服も乱れているが、何処か美女風でセクシーだ。

 「ホラーコミック傑作選 第5集 江戸川乱歩・原作 白髪鬼」 横山光輝&桑田次郎&古賀新一

 「マスカーワールド 〜石ノ森章太郎恐怖アンソロジー〜」 石ノ森章太郎

 「ワイドショー 内田春菊ホラー傑作選」 内田春菊
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ワカメのみそ汁
 日野日出志「愛しのモンスター」がありますね。「ワカメのみそ汁」「出ました!」「怪物は東京タワーを目指す」などコメディーの要素が強いながらも、哀愁漂う作品でした。国会のシーンの茶化しぶりも痛快ですね。久しぶりに読みたくなりました。
おかもろ(再) URL 2011/04/16(Sat)23:23:17 編集
「ありゃりゃ…ヘソも×××もねえぞ!!」
 博士の名前がいきなりギャグですからね。何しろ「腐乱犬」に「酒多飲」ですから…。どう見ても醜いモンスターに向かって「なんとかわいいのだ!!」とか、まぁ自分の子供の様なものだから、本当に可愛く思えていたのでしょう。日野作品の中では有名な部類に入るものの、完成度の高さや内容の奥深さという点では、他作品程の評価はされていない様に思えるのですが、これはギャグ・ホラー・アクション・風刺等、様々な要素を含んだ娯楽作品であり、読んでいて楽しい「娯楽性の高さ」という意味では、決して他の作品にも引けを取らない、立派な代表作の1つだと思いました。
manken99 2011/04/17(Sun)22:49:35 編集
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