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漫画読書日記

自己満足の為の読書感想文。

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最近購読した漫画131【古本/ホラー漫画(ひばり・立風)】



 去年の11/29と今年の2/12に行った、大学前の元古本街にある古本屋に、三度足を運んで来ました。欲しい本を一度に買わず買い残したのは、手持ちが少なく定価以上のプレミア価格が付けられた物を買う事に抵抗があったというのが最初の理由であり、今後の楽しみを残しておく事も理由の1つだった訳ですが、残り冊数も少なく、これ以上購入を先送りしても仕方が無いので、今回はこれまで買い残していた物を全て買って来ましたよ。プレミア価格と言っても定価に少し上乗せされた程度で、定価の何倍もする様な不当な価格ではないので、一応は許容範囲内です。レアなホラー漫画に関してはこれで全て買い尽くしたものの、他ジャンルの物を目当てに今後も足を運ぶ事はあると思います。昨日の日記でも書いた通り、個人経営の古本屋自体が好きなので…。
 今回の本は3/22・3/28・4/12に購入した物であり、大学前の古本屋に行ったのは4/12。実は別の日に別の店で見付けた物も混じっているのですよ。よく探してみれば、メジャーな単行本の中にレアなホラー漫画が紛れて置かれている事も、ごく稀にある様です。今後の発掘作業にも多少は期待が持ててきたかな?といった所ですね。

 「悪魔つきの少女(AKUMA-TSUKI NO SHOUJYO)」 鬼城寺健(ONIJYOUJI KEN)
 1981年7月15日発行の描き下ろし単行本。
 千葉県・館山(TATEYAMA)。海辺に建てられた犬上耕三(INUGAMI KOUZOU)氏の新築の屋敷の壁には、敷地内から発掘された立派な能面が飾られていた。ある日娘の聖子(SEIKO)が、この能面を被り能を舞う男性が武者姿の男達に惨殺される夢を見た時から、何度も同じ夢を見たり、たくさんのクモに襲われるといった怪異が続く様になり、とうとう聖子は熱を出して倒れてしまう。以後、聖子は誕生日パーティーの席で、料理の中に大量に紛れ込んでいたミミズやナメクジを美味しそうに平らげたり、顔付きや態度まで変わって、汚い言葉で相手を罵ったり、乱暴を働く様になってしまう。能面に籠った悪霊の仕業と判断し、能面を処分しようとするも、斧も歯が立たず海へ沈めても戻って来る始末。耕三氏は汚職の犠牲とされた部下を名乗る霊に殺されるが、聖子に取り憑いた能面の悪霊は、五百年前に謀反に遭い惨殺されたこの土地の領主・里見実尭(SATOMI SANEAKI)の霊である事が判明。この強力な悪霊を祓う為に、3人の霊能力者による祈祷が行われる事になる。
 一言で言えば和製「エクソシスト(The Exorcist)」といった感じの内容で、発掘された過去の遺物が悪霊を呼び寄せる依り代であったり、ベッドが動く、医者が恫喝され追い返されるといった細かい部分に至るまで、内容は「エクソシスト」と似通っており、首が180度回るシーンもしっかり描かれているが、単なるPAKURIではなく、能楽がキーワードであったり、謀反に遭い怨み骨髄のまま死んでいった実尭の生首を手本として作られた面にその怨霊が籠るといった経緯、悪霊祓いの術式等、内容を完全に和風に置き換えたオマージュ作品となっている。「悪霊の研究に余念がない」と言う作者は心霊関連の知識に造詣が深く、その内容には説得力があり、独特の画風も手伝って、読者に与えるインパクトはかなり強い。表紙に描かれた悪霊に取り憑かれた聖子の顔は、余りにも怖過ぎで、こちらもインパクト十分だ。

 「夜が恐い!(YORU G KOWAI!)」 古賀新一(KOGA SHINICHI)
 表題作を含むホラー作品3本を収録した中・短編集。1981年7月15日発行。
 表題作の「夜が恐い!」は「週刊少年キング」1970年30号~33号に連載された「江戸川乱歩恐怖シリーズ 屋根裏の散歩者(EDOGAWA RANPO KYOUFU Series YANEURA NO SANPO-SHA)」を元に、タイトルや登場人物名を変更し加筆修整を加えた作品。アパートで一人暮らしを始めてからというもの、幸運に恵まれ始めたと言う女子高生・真理(MARI)。同じアパートに住むバンドマンの花田(HANADA)も同様に、何度も宝くじに当たる等、ツキまくっていた。ある夜、怪しい物音の正体を確かめる為に天井裏に上った花田は、節穴から覗き見た真理の美しさの虜となり、以後、毎晩天井裏に上っては彼女の様子を覗き見る事が日課となる。ストーカー趣味が高じて倒錯的な性癖を見せる様になった花田は、自分の心が醜いと自覚し始めた頃から、自分と同じ服を着た醜い男が真理を襲ったり天井裏から覗いている幻覚を見る様になり、遂には真理を助ける為に男を殺そうとするが…。
 「怪鳥バラスは笑う(KAICHOU BARASU HA WARAU)」は掲載誌及び掲載時期不明。カラスの剥製に模型用のエンジンを入れ、リモコンで飛ばしてカラス退治をしていた智男(TOMOO)。しかし途中でコントロールが効かなくなり、別のカラスと恋人の様に仲良く寄り添ったまま、何処かへ飛び去ってしまう。それから暫く経ったある日、智男が中からエンジン音が聞こえる不思議なカラスの卵を見付けて孵化させてみると、体の中にエンジンが入った雛が産まれ、ガソリンを飲んで急成長するのだった。ガソリンスタンドを経営している智男の家の地下にはガソリンタンクがあり、その中で巨大に成長した別の雛が床を突き破って現れ、外のカラス達を呼び寄せて暴れ回る。
 「恐怖の十円旅行(KYOUFU NO JYUU-EN RYOKOU)」は掲載誌及び掲載時期不明。デパートの屋上で眠ったまま閉じ込められてしまった政一(SEIICHI)。仕方なく夜を明かそうと乗り込んだ遊具の飛行機に10円投入口を見付け、試しに入れてみた所、突然飛行機が動き出し、鎖が切れて空へと飛び出した!
 3本とも「何故こんな事が起こったのか?」という理由付けが憶測の範囲内でされているが、それが正解とは明言されていない為、作品の雰囲気とストーリーだけを素直に楽しんで、理由は各自で想像するのが良いかも知れない。「夜が恐い!」では、花田がストーカー趣味にのめり込んでいく様子がリアリティのある不気味さを醸し出している一方で、得体の知れない何かが本当に存在していたのか、何処から何処までが花田の見た幻覚だったのかの境界が曖昧な為、読んでいる読者の方も不思議な不安感に苛まれてしまう。「怪鳥バラスは笑う」と「恐怖の十円旅行」はどちらも「ウルトラQ(Ultra Q)」の様な和風空想科学特撮物の漫画版といった印象で、「怪鳥バラス(幼鳥時・成長時)」「人面アリ」といった具合に、登場する異生物が怪獣図鑑に掲載されてもおかしくなさそうな、味わい深い作品だ。

 「私の肌に呪いの顔が(WATASHI NO HADA NI NOROI NO KAO GA)」 1巻 古賀新一(KOGA SHINICHI)
 1982年7月15日第1刷発行、全3巻の描き下ろし単行本。
 修学旅行のお土産と偽って、カエルのおもちゃで妹の由美(YUMI)を驚かすいたずら好きの姉・マリ(MARI)。その日は丁度由美の誕生日で、お祝いに来てくれた友人達に手料理を振舞う由美だったが、カエル嫌いのさゆり(SAYURI)の料理に何故か生きたガマガエルの足が入っていて、気分が悪くなったさゆりは家に帰った後も悪夢にうなされ、体に異変を来してしまう。カエルの様に醜い姿になってしまったさゆりは、自殺した後墓場から蘇り、由美を恨んで「お前も醜い姿にしてやる」と襲い来る。
 自分そっくりの姿となった自分自身の影に襲われた由美は、首を絞められた痣が人面疽となり、その人面疽は母へと乗り移って、家族全員を苦しめる。果たしてこれは、さゆりの呪いなのか、それとも神の使いと言われるガマガエルを、由美達の母が十年前に殺してしまった事に起因するたたりなのだろうか…?
 現実とも悪夢とも付かない異常事態が次々と起こり、誰が何の報いを受けているのか全く解らないまま話が進む為、整理するのが少々困難。発端はさゆりの料理にガマガエルの足が入っていた事にあり、由美とマリは互いに相手がやったと責任をなすり合うのだが、どちらの所為でもなく、全ては十年前に殺されたガマガエルのたたりに因るものだったと考えれば、一応の辻褄は合う。逆に言うと破綻する一歩手前の無茶な展開が、「カエルのたたり」という一点でのみ繋ぎ止められているとも言え、そのシュールな内容と存在の危うさそのものが魅力の、「B級中のB級作品」だと言えるかも知れない。2~3巻も、是非何時か入手して読みたいと思う。

 「悪魔のタロットカード(AKUMA NO Tarot Card)」 槙村ただし(MAKIMURA TADASHI)

 「呪わしき友情(NOROWASHIKI YUUJYOU)」 さがみゆき(SAGA MIYUKI)
 1982年11月16日発行の描き下ろし単行本「はつ恋地獄変(HATSUKOI JIGOKU-HEN)」を改題し、初版として再発行した何時ものひばり商法で、こちらは1988年10月16日初版発行。背表紙のナンバーは189。
 誕生日に何者かに飼い猫の死体を送り付けられ、誰かに恨まれているのだろうかと落ち込むめぐみ(MEGUMI)。ヒロシ(HIROSHI)はめぐみを慰め、2人の仲は深まっていくが、親同士が決めたヒロシの婚約者である京子(KYOUKO)の嫉妬は日増しに強くなり、めぐみへの嫌がらせはエスカレートしていく。家族が居ないある嵐の夜、なかなか寝付けないでいるめぐみの許に、ナイフを振り翳し現れた京子。抵抗しためぐみは咄嗟に京子の体に火を点け、全身大火傷を負った京子は重体となり入院。ますますめぐみを憎む京子だったが、「自業自得だ」とヒロシに愛想を尽かされ、とうとう自殺してしまう。
 嫉妬に狂う京子の姿が異常で恐ろし気に描かれているが、本当に恐ろしいのはヒロシに好かれる為にずっと猫を被り続けていためぐみの方であり、自殺した京子の死体に対するめぐみの態度は余りにも酷い。京子に対するヒロシの態度もかなり無慈悲且つ辛辣で、最初に猫を殺したという事実さえ無ければ、一番の被害者は京子で間違い無かった所だ。アニメオタクが現在程認知されていなかったこの時代に、お互いアニメファンだという事で男女が意気投合するといった描写は、かなり時代を先取りしている様で新鮮に思えるが、「おはよう!スパンク(OHAYOU! Spank)」の人形や「機動戦士ガンダム(KIDOU-SENSHI Gundam)」「銀河鉄道999(GINGA TETSUDOU Three-Nine)」のレコードジャケット等をそのまま描くのは、流石に不味いのではないかと思う…。
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