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漫画読書日記

自己満足の為の読書感想文。

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最近購読した漫画066【古本/ホラー漫画(成毛厚子)】



 10月に購入した少女漫画系ホラー作品の中から、今回は成毛厚子(NARUMO ATSUKO)の作品を紹介。身近な日常生活を題材にした心霊物が殆どで、リアリティに欠ける突拍子も無い内容の物は余り無い。作品の雰囲気や傾向は一定しているものの、物凄く怖い物と余り怖く無い物との差がかなり激しいという特徴があり、心霊関連の蘊蓄を話に絡めている点などは、女性版つのだじろう(TSUNODA JIROU)といった印象。「怪 霊体験日記」「霊感少女−闇のカルテ(REIKAN SHOUJYO −YAMI NO Karte)」「心霊体験 実験室のマリコ」「恐怖短編傑作選 霊感体験レポート」…といった具合に、似た様なタイトルが多くてややこしい…。今回の本は10/9・10/22・10/30に購入した物。

 「闇からの誘い(YAMI KARA NO SASOI)」 成毛厚子(NARUMO ATSUKO)
 1982年〜1983年に発表されたホラー短編を5本収録した作品集。1983年6月14日発行。
 表題作の「闇からの誘い」は「週刊少女フレンド」1983年第12号に掲載。ある日眼帯をした少女に出会った彩(AYA)は、その日から目が痛み出し、目医者に行っても異常は無く、原因が解らない。やがて眼帯をした少女は彩の目が欲しいと言い出し、出会った後に必ずビー玉の様な黒いガラス玉を残していくが…。
 「かごめかごめ(KAGOME KAGOME)」は「ハローフレンド」1982年3月号に掲載。春休みに友達と4人で、5歳の頃まで住んでいた田舎へと遊びに来た奈緒子(NAOKO)は、裏山で「かごめかごめ」を歌いながら石を積み上げている少年に出会う。奈緒子のおばは、子供の頃に奈緒子がよく一緒に遊んでいたさとる(SATORU)という少年の話をするが、奈緒子の記憶はその部分だけが抜け落ちてしまっていた。
 「幽霊ごっこ(YUUREI GOKKO)」は「ハローフレンド」1983年4月号〜5月号に連載。園子(SONOKO)が引っ越して来た家の隣は空家で、何故か庭にたくさんの穴が掘られていた。転校先の学校でUFO同好会の勇介(YUUSUKE)から声を掛けられた園子は、嫌われたくない一心で「UFOを見た事がある」と嘘を吐き、夜に皆で隣の空家に集ってUFOを呼ぶ実験をする事に。様々な怪現象が起こるものの、以前その家に住んでいた男が病院を抜け出して現れた事で、全てはその男の仕業であり、庭に穴を掘っていたのも、行方不明になった子供の死体を探す為の行為だった事が判明する。しかし園子だけがその子供らしき霊を目撃していたのだった。
 「204号室の足音(204-GOUSHITSU NO ASHIOTO)」は「ハローフレンド」1982年6月号に掲載。アパートの104号室に引っ越して来たゆかり(YUKARI)は、夜中に足音が響いて煩いと2階の204号室へ抗議に行くが、出て来た陰気そうな女に追い返されてしまう。女の留守中に204号室を調べると、暗くて汚い部屋の押し入れでは何故かネズミが飼われていて、壁に子供が描いた様な落書きがあった。ネズミを逃がしてしまった事で、異様に取り乱した204号室の女に詰め寄られるゆかりだが、その直後に女は何者かに階段から突き落とされて死んでしまう。
 「闇に消えた花嫁(YAMI NI KIETA HANAYOME)」は「ハローフレンド」1982年9月号に掲載。養父の供養の為、40年も閉ざされていた田舎の本家にて、結婚式を挙げる事にした義兄と姉のみさ子(MISAKO)と、それを祝いにやって来たみちる(MICHIRU)。大勢の村人を呼んで祝っている最中に、部屋から出て廊下を歩くみさ子の姿を見掛けたみちるは後を追うが、行き止まりで見失い、そのままみさ子は行方不明となってしまう。実はここ浮田(UKITA)家は、何代かおきに心の病いを持つ凶暴な「鬼」と呼ばれる子供が生まれる呪われた血筋であり、義兄の養父である先代は、自分の代でその血筋を断ち切る決心をし、自分の息子を座敷牢に閉じ込めて死なせていたのだった。みさ子の失踪はその鬼の仕業なのだろうか…?
 恐怖の対象となる相手の正体や事件の真相については、物語の途中で何度か触れられたりヒントは提示されているものの、相手が明確にその姿や正体を現すショッキングなシーンは終盤になって初めて描かれるという手法が取られており、全ての話がバッドエンドか、事件がまだ完全には解決していない様な余韻を残すエンディングとなっている事も相まって、かなり強いインパクトを読者に与える結果となっている。目玉の無い人形の顔、井戸に落ちた自分の後ろに白骨死体、子供の腐乱死体、ミイラの花嫁にされそうになる等、子供の頃に読んでいたならばトラウマになっていた事は確実だ。優れた構成力とインパクトを兼ね備えた良質のホラー作品集。

 「霊感少女−闇のカルテ(REIKAN SHOUJYO −YAMI NO Karte)」 成毛厚子(NARUMO ATSUKO)
 霊能者を叔父に持つ霊感の強い美少女・氏家沙夜香(UJIIE SAYAKA)が、学園内で起こる様々な心霊絡みの事件の相談を受けるといった内容の、読み切り連作シリーズ。1984年6月14日発行。
 「ゆがんだフィルム えりなの場合(YUGANDA Film ERINA NO BAAI)」は「週刊少女フレンド」1983年第23号に掲載。憧れの山科(YAMASHINA)と撮った写真に女性の手が写っていて、気味が悪くなったえりなは写真とネガを燃やすが、その後も山科の近辺で女性の霊を目撃。身の危険を感じて沙夜香に相談するが、心配無いと言われて却って不信感を募らせる。
 「壁のうら側 響子の場合(KABE NO URA-GAWA KYOUKO NO BAAI)」は「週刊少女フレンド」1984年第1号に掲載。家を改装してから物が無くなる事が増えた響子は、壁の中に物や飼い猫が吸い込まれて消える所を目撃。沙夜香に相談し、部屋の壁が古い防空壕の中へと繋がっていた事を知る。
 「狐狗狸の恐怖 恵の場合(KOKKURI NO KYOUFU MEGUMI NO BAAI)」は「週刊少女フレンド」1984年第3号に掲載。友人達とコックリさんをしていた恵は、正式な終え方をしなかった為に呼び出した動物霊に取り憑かれ、無性に空腹感に苛まれたり、本心とは裏腹に言葉や態度が酷く乱暴になっていってしまう。
 「転生 早苗の場合(TENSEI SANAE NO BAAI)」は「週刊少女フレンド」1984年第5号に掲載。沙夜香の家を覗いていた少女・早苗(SANAE)。彼女は江戸時代に許婚がありながら若くして病で死んだ貴恵(KIE)の生まれ変わりであり、沙夜香の叔父・冬希(FUYUKI)の事を「千之助(SENNOSUKE)」と呼んで慕う。
 「地縛霊 祐子の場合(JIBAKU-REI YUUKO NO BAAI)」は「週刊少女フレンド」1984年第7号に掲載。骨折して入院している祐子を、夜毎襲う怪異。それは事故で片足を切断し自殺した女性の地縛霊が、祐子の足を奪おうとして引き起こしていた現象であった。
 「霊魂 沙夜香の場合(REIKON SAYAKA NO BAAI)」は「ハローフレンド」1984年6月号に掲載。降霊中に邪魔をされた為意識不明となり、入院してしまった叔父・冬希。除霊に失敗した悪霊は沙夜香に取り憑いて家を火事にし、沙夜香は煙で窒息して死んでしまう。
 各話毎に心霊写真やコックリさん・転生・地縛霊といった異なる心霊現象を取り上げており、登場人物達が他人を殺そうとしたり殺されそうになったりする危機的状況も描かれるものの、ページ数の短さや全てハッピーエンドである点も相まって、心霊紹介を交えた軽い読み物といった印象が強く、おどろおどろしい非情な残虐性は殆ど無いと言って良い。つのだじろう(TSUNODA JIROU)に影響を受けたと思しき霊の描写は非常に不気味で恐ろしいが、悪霊と呼ばれる存在も又、成仏出来ずに苦しんでいる気の毒な霊達なのだといった、優しい視点も持ち合わせている点が好印象。

 「魔の風が吹く」 成毛厚子(NARUMO ATSUKO)

 「死霊のうめき」 成毛厚子(NARUMO ATSUKO)

 「心霊体験 実験室のマリコ」 成毛厚子(NARUMO ATSUKO)

 「怪 霊体験日記」 成毛厚子 1・2巻(NARUMO ATSUKO)

 「恐怖短編傑作選 霊感体験レポート」 成毛厚子(NARUMO ATSUKO)

 「死者の森」 成毛厚子(NARUMO ATSUKO)
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