最近購読した漫画330【ホラー漫画(朝日ソノラマ)】
【ホラー・ミステリー】
2012年5月11日・5月22日・5月31日に購入。

「魔百合の恐怖報告 呪いの代行(MAYURI NO Shock Report NOROI NO DAIKOU)」
山本まゆり(YAMAMOTO MAYURI)
朝日ソノラマ ハロウィン少女コミック館。1996年6月20日第1刷発行。

「JUNJIの恐怖コレクション② 首のない彫刻(JUNJI NO KYOUFU Collection② KUBI NO NAI CHOUKOKU)」
伊藤潤二(ITOU JYUNJI)
朝日ソノラマ ハロウィン少女コミック館。1991年10月20日初版発行。定価390円(本体379円)。

「惨劇館(SANGEKI-KAN)」 ⑤
御茶漬海苔(OCHADUKENORI)
朝日ソノラマ ハロウィン少女コミック館。1989年11月20日初版発行。定価390円(本体379円)。「月刊ハロウィン」1986年7月号~1990年12月号連載に連載された、スプラッター色の強い読み切り形式のホラー漫画。個々の物語は独立していて相互に関連性は無いものの、何話かに跨る連作やシリーズ物も幾つか存在する。⑤巻には第二十一回上映作品~第二十五回上映作品と惨劇館スペシャルの計6本を収録。
「第二十一回上映作品 始発電車(SHIHATSU-DENSHA)」・・・早起きして、上機嫌で通学電車に乗る秋(AKI)・タカ(TAKA)の仲良しカップル。しかしそこへ刃物を持った様子の可笑しい男が飛び乗って来て、電車内は惨劇の場と化す。
「第二十二回上映作品 虫がいる(MUSHI GA IRU)」・・・父と共に洋館へと引っ越して来た麻美(ASAMI)は、翌朝から体中に虫刺されの様な出来物が出来始め、遂には体全体が出来物に覆われてしまう。それは洋館内の至る所に繁殖していた、昆虫学者ケーノルド(Canold)博士が造り出した、人間の女性の体を食料として増える新種の虫の卵であった。
「第二十三回上映作品 夢子(花園編)(YUMEKO(HANAZONO-HEN))」・・・花園家で3月14日に女性が殺される予知夢を見た私立探偵・奥矢夢子(OKUYA YUMEKO)は、助手の竹中(TAKENAKA)と共に花園家を探し出し、事件を未然に防ごうと奔走する。
「第二十四回上映作品 整形美容(SEIKEI BIYOU)」・・・憧れの高田(TAKADA)を自分の物にする為、整形美容を受ける事にした敦子(ATSUKO)。知人の老婆を殺害して500万円もの手術費用を用意し、別人の様に生まれ変わって、高田と一緒に暮らし始めた敦子だったが…。
「第二十五回上映作品 首切り人形(KUBIKIRI-NINGYOU)」・・・1年間も家を空けていた考古学者の父が、嵐の夜に突然帰って来た翌朝、自室で首を切り落とされて死んでいた。部屋には血の付いた人形が残されており、娘の明子(AKIKO)は、トムトム族の呪いが掛かった伝説の首切り人形が父を殺したのだと言うが…。
「惨劇館スペシャル 夢子(SANGEKI-KAN Special YUMEKO)」は1989年3月「月刊ハロウィン別冊 悪夢の惨劇館」に掲載されたスペシャル編。群馬県の人形村(NINGYOU-MURA)で女性が殺される夢を見た夢子は、助手の竹中と共に人形村へと向かう。犠牲者は鬼藤(KITOU)家の3人姉妹の1人・夏(NATSU)。残された春(HARU)・冬(FUYU)の内、春が殺される夢を見た夢子は鬼藤家へと急ぐが時既に遅く、犯人の冬は春の首を持って人形城(NINGYOU-JYOU)へ向かい、何事かを成さんと、隠し扉へと逃げ込むのだった。
首を切断したり刃物で残酷に人を殺害するといった、目立つ血塗れシーンが無い物は「虫がいる」と「整形美容」のみであり、殺人が絡まない物は1本も無いなど、殆どが残虐な内容の血飛沫ホラーで構成されているが、幸せな日常と隣り合わせの惨事を淡々と描いた「始発電車」や、家に火を放った事で却って虫の存在を広め、負の連鎖を生み出す可能性を示唆した「虫がいる」のラストシーン等、狙いや意図する所は作品毎に違っている。
シリーズ物は「夢子(花園編)」と「惨劇館スペシャル 夢子」の2本。黒魔術を使って花園の妻・京子(KYOUKO)を自分の物にしようとした黒田(KURODA)の企みや、夏の体と春の首に自分の心を合わせて生きた人形を作ろうとした冬の企み等、奇怪な事件の真相は知り得たものの、奔走も空しく後味の悪い結末ばかりを迎えてしまう点が余りにも皮肉過ぎる。「整形美容」も皮肉な結末を迎えるパターンだが、老婆を殺害した事は咎めず、ただ自分の心を変える事を敦子に説く平田(HIRATA)医師の存在は「願い事系ホラー」の案内役の様でもあり、全ては敦子自身が望み行動した結果であるという点に諦観を感じずには居られない。「首切り人形」はスプラッターホラー映画の王道の様な単純明快な内容で、トムトム族の宝の人形を盗んだ事に因る呪いで次々と人々の首を切っていくのだと言うが、関係の無い人間を襲っている事からも、それは単なる理由付けに過ぎない事は明白だ。邸内に居る明子と警部に首切り人形の脈動音が迫るという、その先を期待させる所で終わっている点も、よく有る王道的なホラー映画の手法を思わせる。

「惨劇館(SANGEKI-KAN)」 ⑩
御茶漬海苔(OCHADUKENORI)
朝日ソノラマ ハロウィン少女コミック館。1994年1月20日第1刷発行。定価400円(本体388円)。「月刊ハロウィン」1986年7月号~1990年12月号に連載された、スプラッター色の強い読み切り形式のホラー漫画。個々の物語は独立していて相互に関連性は無いものの、何話かに跨る連作やシリーズ物も幾つか存在する。⑩巻には全て描き下ろしとなる、オープニングと第四十一回上映作品~第四十五回上映作品の計6本を収録。
「オープニング [恐怖ふたたび…]([KYOUFU FUTATABI…])」・・・雨の中、乗っていた車が事故を起こし、瀕死の姉を連れて近くの屋敷へと助けを求めに向かった美和(MIWA)。しかし姉は死んでしまい、「こっちへ来い」と美和を呼ぶ声がする奥の扉へと向かうと、そこには何故か「来ちゃダメ」と言う姉の姿が…。
「第四十一回上映作品 死者の穴(SHISHA NO ANA)」・・・家族4人で田舎の祖母の家に遊びに行った折、母が妹の春江(HARUE)ばかり可愛がり、自分にはつらく当たる事が気に入らない夏子(NATSUKO)は、春江を川へ突き落とし、春江が溺れ死んだ事を知った祖母も心臓麻痺で死んでしまう。その夜、畳の下から現れた春江の霊は、祖母が生前話していた「この世とあの世をつなぐ穴」へと、夏子を引き摺り落とす。
「第四十二回上映作品 恐怖の眼(KYOUFU NO ME)」・・・塾で光子(MITSUKO)のカンニングを目撃した秋代(AKIYO)は、帰り道で光子に口止めされて脅されるが、その直後に光子は殺人鬼に殺され、その現場を目撃した秋代は、今度は殺人鬼から「誰にも言うな。言ったら殺す」と脅される。殺人鬼が恐ろしくて黙っている秋代を、殺された光子の霊が恐ろしい形相で恫喝し、言う事も言わずに居る事も許されず板挟みとなって苦しむ秋代だったが…。
「第四十三回上映作品 公衆トイレ(KOUSHUU-Toile)」・・・コンサートの帰りにアイスの食べ過ぎでお腹を壊した黒子(KUROKO)は、陽子(YOUKO)を付き合わせて公園のトイレに駆け込むが、そこはかつて虐められっ子が至る所に恨み事を書き綴って自殺した場所だった。
「第四十四回上映作品 処刑少女(SHOKEI-SHOUJYO)」・・・自殺した典子(NORIKO)が友達の百合子(YURIKO)に遺した手紙には、典子がリョウ(RYOU)に廃病院へと呼び出され、リョウの取り巻きの女・ローズ(Rose)・ジュン(JYUN)から、酷い虐待を受けていた事が綴られていた。その事を抗議した百合子もリョウ達から酷い目に遭わされ、百合子は3人への復讐を決意する。
「第四十五回上映作品 ココア(Cocoa)」・・・古いココアを飲んだ時に中に入っていた大量のミミズの様な虫が舌や口の中と一体化し、体中から触手状の突起物が生えてしまった香奈絵(KANAE)。恋人の真樹(MAKI)の優しさで、彼女の姿を元に戻す事が出来るのだろうか?全7Pの超短編。
本編を期待させる導入部分となる[恐怖ふたたび…]に始まり、グロテスクながらも愛を感じさせる内容で、途中でプッツリ終わっている感のある超短編での締めなど、如何にも描き降ろしらしく、連作物の続編が存在しない事からも、この1冊だけを読んでも十分楽しめる構成となっている。
「死者の穴」の夏子は、妹の春江を殺した秘密を言うも恐ろしく言わぬも恐ろしく、「恐怖の眼」の秋代は、殺人鬼の事を言うも恐ろしく言わぬも恐ろしい…といった具合に共通する境遇にあり、読者自身が何か打ち明けられない秘密や悩みを抱えている時に読んだ場合、身につまされて主人公へのシンクロ率が高まって、恐ろしさが倍増しそうだ。同様に「処刑少女」も、友達の仇討ちとは言え殺人を犯した百合子に対する「しかしそれは現実社会では犯罪なのです。百合子は現実の恐怖におびえなくてはいけないのです」と言う作者の言葉が辛辣であり、「罪」に対する作者の考え方が、この3作品によく表れている様に思う。「公衆トイレ」のみ、虐めを苦に自殺した少女が、関係無い相手を死に至らしめるという理不尽な都市伝説系恐怖を描いているが、少女が苦しい胸の内を吐露した落書きを「バカじゃないの。かってに死ねば」と嘲笑う黒子の態度も酷く、そうした態度が少女の霊の怒りを買って殺害されたのだと考えると、これも「罪」や「罰」と無関係とは言えなさそうだ。至る所に恨み言が書き綴られた公衆トイレの、異様な光景が恐ろしい。
「魔百合の恐怖報告 呪いの代行(MAYURI NO Shock Report NOROI NO DAIKOU)」
山本まゆり(YAMAMOTO MAYURI)
朝日ソノラマ ハロウィン少女コミック館。1996年6月20日第1刷発行。
「JUNJIの恐怖コレクション② 首のない彫刻(JUNJI NO KYOUFU Collection② KUBI NO NAI CHOUKOKU)」
伊藤潤二(ITOU JYUNJI)
朝日ソノラマ ハロウィン少女コミック館。1991年10月20日初版発行。定価390円(本体379円)。
「惨劇館(SANGEKI-KAN)」 ⑤
御茶漬海苔(OCHADUKENORI)
朝日ソノラマ ハロウィン少女コミック館。1989年11月20日初版発行。定価390円(本体379円)。「月刊ハロウィン」1986年7月号~1990年12月号連載に連載された、スプラッター色の強い読み切り形式のホラー漫画。個々の物語は独立していて相互に関連性は無いものの、何話かに跨る連作やシリーズ物も幾つか存在する。⑤巻には第二十一回上映作品~第二十五回上映作品と惨劇館スペシャルの計6本を収録。
「第二十一回上映作品 始発電車(SHIHATSU-DENSHA)」・・・早起きして、上機嫌で通学電車に乗る秋(AKI)・タカ(TAKA)の仲良しカップル。しかしそこへ刃物を持った様子の可笑しい男が飛び乗って来て、電車内は惨劇の場と化す。
「第二十二回上映作品 虫がいる(MUSHI GA IRU)」・・・父と共に洋館へと引っ越して来た麻美(ASAMI)は、翌朝から体中に虫刺されの様な出来物が出来始め、遂には体全体が出来物に覆われてしまう。それは洋館内の至る所に繁殖していた、昆虫学者ケーノルド(Canold)博士が造り出した、人間の女性の体を食料として増える新種の虫の卵であった。
「第二十三回上映作品 夢子(花園編)(YUMEKO(HANAZONO-HEN))」・・・花園家で3月14日に女性が殺される予知夢を見た私立探偵・奥矢夢子(OKUYA YUMEKO)は、助手の竹中(TAKENAKA)と共に花園家を探し出し、事件を未然に防ごうと奔走する。
「第二十四回上映作品 整形美容(SEIKEI BIYOU)」・・・憧れの高田(TAKADA)を自分の物にする為、整形美容を受ける事にした敦子(ATSUKO)。知人の老婆を殺害して500万円もの手術費用を用意し、別人の様に生まれ変わって、高田と一緒に暮らし始めた敦子だったが…。
「第二十五回上映作品 首切り人形(KUBIKIRI-NINGYOU)」・・・1年間も家を空けていた考古学者の父が、嵐の夜に突然帰って来た翌朝、自室で首を切り落とされて死んでいた。部屋には血の付いた人形が残されており、娘の明子(AKIKO)は、トムトム族の呪いが掛かった伝説の首切り人形が父を殺したのだと言うが…。
「惨劇館スペシャル 夢子(SANGEKI-KAN Special YUMEKO)」は1989年3月「月刊ハロウィン別冊 悪夢の惨劇館」に掲載されたスペシャル編。群馬県の人形村(NINGYOU-MURA)で女性が殺される夢を見た夢子は、助手の竹中と共に人形村へと向かう。犠牲者は鬼藤(KITOU)家の3人姉妹の1人・夏(NATSU)。残された春(HARU)・冬(FUYU)の内、春が殺される夢を見た夢子は鬼藤家へと急ぐが時既に遅く、犯人の冬は春の首を持って人形城(NINGYOU-JYOU)へ向かい、何事かを成さんと、隠し扉へと逃げ込むのだった。
首を切断したり刃物で残酷に人を殺害するといった、目立つ血塗れシーンが無い物は「虫がいる」と「整形美容」のみであり、殺人が絡まない物は1本も無いなど、殆どが残虐な内容の血飛沫ホラーで構成されているが、幸せな日常と隣り合わせの惨事を淡々と描いた「始発電車」や、家に火を放った事で却って虫の存在を広め、負の連鎖を生み出す可能性を示唆した「虫がいる」のラストシーン等、狙いや意図する所は作品毎に違っている。
シリーズ物は「夢子(花園編)」と「惨劇館スペシャル 夢子」の2本。黒魔術を使って花園の妻・京子(KYOUKO)を自分の物にしようとした黒田(KURODA)の企みや、夏の体と春の首に自分の心を合わせて生きた人形を作ろうとした冬の企み等、奇怪な事件の真相は知り得たものの、奔走も空しく後味の悪い結末ばかりを迎えてしまう点が余りにも皮肉過ぎる。「整形美容」も皮肉な結末を迎えるパターンだが、老婆を殺害した事は咎めず、ただ自分の心を変える事を敦子に説く平田(HIRATA)医師の存在は「願い事系ホラー」の案内役の様でもあり、全ては敦子自身が望み行動した結果であるという点に諦観を感じずには居られない。「首切り人形」はスプラッターホラー映画の王道の様な単純明快な内容で、トムトム族の宝の人形を盗んだ事に因る呪いで次々と人々の首を切っていくのだと言うが、関係の無い人間を襲っている事からも、それは単なる理由付けに過ぎない事は明白だ。邸内に居る明子と警部に首切り人形の脈動音が迫るという、その先を期待させる所で終わっている点も、よく有る王道的なホラー映画の手法を思わせる。
「惨劇館(SANGEKI-KAN)」 ⑩
御茶漬海苔(OCHADUKENORI)
朝日ソノラマ ハロウィン少女コミック館。1994年1月20日第1刷発行。定価400円(本体388円)。「月刊ハロウィン」1986年7月号~1990年12月号に連載された、スプラッター色の強い読み切り形式のホラー漫画。個々の物語は独立していて相互に関連性は無いものの、何話かに跨る連作やシリーズ物も幾つか存在する。⑩巻には全て描き下ろしとなる、オープニングと第四十一回上映作品~第四十五回上映作品の計6本を収録。
「オープニング [恐怖ふたたび…]([KYOUFU FUTATABI…])」・・・雨の中、乗っていた車が事故を起こし、瀕死の姉を連れて近くの屋敷へと助けを求めに向かった美和(MIWA)。しかし姉は死んでしまい、「こっちへ来い」と美和を呼ぶ声がする奥の扉へと向かうと、そこには何故か「来ちゃダメ」と言う姉の姿が…。
「第四十一回上映作品 死者の穴(SHISHA NO ANA)」・・・家族4人で田舎の祖母の家に遊びに行った折、母が妹の春江(HARUE)ばかり可愛がり、自分にはつらく当たる事が気に入らない夏子(NATSUKO)は、春江を川へ突き落とし、春江が溺れ死んだ事を知った祖母も心臓麻痺で死んでしまう。その夜、畳の下から現れた春江の霊は、祖母が生前話していた「この世とあの世をつなぐ穴」へと、夏子を引き摺り落とす。
「第四十二回上映作品 恐怖の眼(KYOUFU NO ME)」・・・塾で光子(MITSUKO)のカンニングを目撃した秋代(AKIYO)は、帰り道で光子に口止めされて脅されるが、その直後に光子は殺人鬼に殺され、その現場を目撃した秋代は、今度は殺人鬼から「誰にも言うな。言ったら殺す」と脅される。殺人鬼が恐ろしくて黙っている秋代を、殺された光子の霊が恐ろしい形相で恫喝し、言う事も言わずに居る事も許されず板挟みとなって苦しむ秋代だったが…。
「第四十三回上映作品 公衆トイレ(KOUSHUU-Toile)」・・・コンサートの帰りにアイスの食べ過ぎでお腹を壊した黒子(KUROKO)は、陽子(YOUKO)を付き合わせて公園のトイレに駆け込むが、そこはかつて虐められっ子が至る所に恨み事を書き綴って自殺した場所だった。
「第四十四回上映作品 処刑少女(SHOKEI-SHOUJYO)」・・・自殺した典子(NORIKO)が友達の百合子(YURIKO)に遺した手紙には、典子がリョウ(RYOU)に廃病院へと呼び出され、リョウの取り巻きの女・ローズ(Rose)・ジュン(JYUN)から、酷い虐待を受けていた事が綴られていた。その事を抗議した百合子もリョウ達から酷い目に遭わされ、百合子は3人への復讐を決意する。
「第四十五回上映作品 ココア(Cocoa)」・・・古いココアを飲んだ時に中に入っていた大量のミミズの様な虫が舌や口の中と一体化し、体中から触手状の突起物が生えてしまった香奈絵(KANAE)。恋人の真樹(MAKI)の優しさで、彼女の姿を元に戻す事が出来るのだろうか?全7Pの超短編。
本編を期待させる導入部分となる[恐怖ふたたび…]に始まり、グロテスクながらも愛を感じさせる内容で、途中でプッツリ終わっている感のある超短編での締めなど、如何にも描き降ろしらしく、連作物の続編が存在しない事からも、この1冊だけを読んでも十分楽しめる構成となっている。
「死者の穴」の夏子は、妹の春江を殺した秘密を言うも恐ろしく言わぬも恐ろしく、「恐怖の眼」の秋代は、殺人鬼の事を言うも恐ろしく言わぬも恐ろしい…といった具合に共通する境遇にあり、読者自身が何か打ち明けられない秘密や悩みを抱えている時に読んだ場合、身につまされて主人公へのシンクロ率が高まって、恐ろしさが倍増しそうだ。同様に「処刑少女」も、友達の仇討ちとは言え殺人を犯した百合子に対する「しかしそれは現実社会では犯罪なのです。百合子は現実の恐怖におびえなくてはいけないのです」と言う作者の言葉が辛辣であり、「罪」に対する作者の考え方が、この3作品によく表れている様に思う。「公衆トイレ」のみ、虐めを苦に自殺した少女が、関係無い相手を死に至らしめるという理不尽な都市伝説系恐怖を描いているが、少女が苦しい胸の内を吐露した落書きを「バカじゃないの。かってに死ねば」と嘲笑う黒子の態度も酷く、そうした態度が少女の霊の怒りを買って殺害されたのだと考えると、これも「罪」や「罰」と無関係とは言えなさそうだ。至る所に恨み言が書き綴られた公衆トイレの、異様な光景が恐ろしい。
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